『龍争虎鬥精武魂』 | 続・功夫電影専科

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香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


龍争虎鬥精武魂/龍爭虎鬥精武魂
英題:The Black Dragon's Revenge/Death Of Bruce Lee
製作:1975年

▼(※…画像は本作を収録したDVDパックのものです)
今回も白彪(バイ・ピョウ)主演の李小龍系作品の登場だが、今回はあのロン・ヴァン・クリフが共演していることが大きな売りとなっている。ロン自身は『死闘伝説TRUBO!!』で日本にも紹介され、『恐怖の鉄拳・死の香り』でもアクションを見せているが、実質的な映画出演作はひとつも上陸していない。その点でジム・ケリーやカール・スコット、フレッド・ウィリアムソンといった他の黒人功夫スターとは一線を画しているイメージが強く、ある種の神秘性を帯びているようにも思える。
そんなロンはジム・ケリーに続けとばかりに担ぎ出された本物の空手家で、実績に関しては『死闘伝説~』でも触れられた通り、素晴らしい技量の持ち主だ。フィルモグラフィーを見ると『怪客』『唐手[足台]拳道』を作った長江電影の作品に多く出演しており、ロンが長江電影と契約していたであろう事を伺わせている。

■1973年7月20日、香港を代表する功夫スターである李小龍がこの世を去った。物語はその翌日から始まり、サンフランシスコの資産家・高岡(トンプソン・コウ)から李小龍の死の真相を探れと依頼を受けたロン(劇中でヴァン・クリフと呼ばれている事から、恐らくは本人役か?)は、すぐさま香港入りを果たした。彼は現地で白人武道家のチャールズ・ボネットと合流し、証拠集めに李小龍の家へ向かう。だが、突然現れた怪しい男たちに絡まれ、同じく李小龍の死の謎を探っていた白彪と元秋(ユン・チウ)らも襲撃に遭遇した。
ロンたちに刺客を差し向けたのは劉鶴年で、彼もまた何者かの指図で動いているらしい。そんな事とはつゆ知らず、再び李小龍の家へと潜入したロンとチャールズは、同じく潜入していた白彪たちを敵と誤解。これによって双方がいがみ合いながらも真実に近付いて…という展開になるかと思いきや、それ以降ロンと白彪は特にこれといって絡むことは無く、地道に聞き込み調査を続けていく。正直言って盛り上がりに欠けるストーリー展開だが、この状況は白彪とロンがそれぞれ仲間を敵(ザコの一人に山怪が登場)に殺されるに至って、ようやく進展するのだ。
敵は事の真相に近付こうとするロンたちを各個撃破で殺害していき、遂には白彪と元秋にも魔の手が忍び寄る。ここでロンが助けに入り、誤解が解けたロンは白彪のいる道場に身を寄せ、いよいよ最後の対決に挑む。ロン・白彪・元秋の3人は劉鶴年らを激闘の果てに倒すが、そこに意外な真の黒幕が姿を見せ…。

▲本作には『死闘伝説TRUBO!!』でロンの紹介に使用されたカットが大量に登場する。まずクライマックス手前でロンが白彪を助けるシーンは、あの「路地で戦ったロンが最後に敵の女の蛇に噛まれる」場面だ。その後、白彪のいる道場でロンが演舞するシーンも『死闘伝説~』に使われたもので、今まで出自が謎だった数々のカットの出どころが解って、私はかなり感慨深い思いを抱いてしまいました(笑)。なるほど、あそこで腕に傷を負っていたのは白彪だったのか…。
李小龍の死の真相というテーマは何宗道(ブルース・ライ)の『ブルース・リーを探せ!』や『金色太陽』なんかでも取り上げられたネタだが、本作はそれらと比較してもあまり変わり映えはしない。なにしろ物語は李小龍の死の謎を追う"だけ"で、あまり大きなイベントが起こってくれないのだ。それでいて肝心の主役であるロンと白彪の絡みも劇中ではほとんど無く、ラスト間際まではまるでニコイチ映画の如く話は進んでいく。そんな訳で、ストーリー面の評価は『唐手[足台]拳道』同様に、あまり良くは無い。
ただしこれが功夫アクションとなると中々の出来で、ロンやチャールズが意外とキレのいい動きを披露している。『死闘伝説~』でロンは「撮影現場では外人だから実力を試される事もあった」と語っているが、本作に於いてロンは武術指導にもタッチしているところを見るに、結構な評価を受けていた様子が垣間見える。その他にも元秋の京劇系アクションや、道場破りされる役ばっかりでヘタレな印象の強い劉鶴年(酷)が、以外に激しい立ち回りを見せているのも面白い。
中盤が少しダレるが、尻すぼみに終わった『唐手[足台]拳道』よりは一枚上手であり、"もう1人のブラック・ドラゴン"であるロンの活躍に注目すれば、それなりには見られる作品かと。