『唐手[足台]拳道』 | 続・功夫電影専科

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唐手[足台]拳道
英題:Crush
製作:1972年

●白彪(バイ・ピョウ)主演の長江電影作品『怪客』は当時流行していた李小龍タイプの作品だ。だが脚本の倪匡(イ・クオン)や武術指導の陳少鵬など一流スタッフが関わったため、単なる模倣品に終わらない傑作になり得た。本作はその『怪客』とほぼ同じスタッフによって作られた物で、全編に渡って韓国ロケが行われた意欲作である。
ここは韓国のとある街…寒空広がるこの僻地で、陳浩ら日本人による横暴が繰り広げられていた(この陳浩らは日本軍というわけではないらしく、単なる浪人の集団らしい)。その魔の手は胡茵茵・魯俊谷・權永文らが席を置くテコンドー道場にも飛び火したが、そこに現れた中国人の白彪が見事に日本人たちを蹴散らした。当初はぐっと堪えていたテコンドー道場の面々だったが、白彪の姿に感化されて日本人たちと闘う決意を固めた。しかし敵の襲撃によって犠牲者が多発し、遂には魯俊谷が殺されてしまう。
日本人のボスである陳鴻烈(チェン・ホンリェ)は「あの忌々しいテコンドー道場を叩き潰せ」と命じる。一方、白彪は考えの違いでテコンドー道場の仲間と対立するのだが…本作はこの中盤から白彪が女の元を訪れたり、かと思えば日本人たちの本拠へ現れたりと妙な行動を取るようになってしまい、物語のペースがガクッと落ち込んでしまう。このへんの展開が解り辛くてとっつきにくい雰囲気を与えてしまっているのはいかんともしがたく、ラストバトルまでこれといった見せ場の無いまま物語は進んでいく。
作品そのものは抗日功夫片のステレオタイプで、ふらりと現れた風来坊が巨悪に立ち向かうという筋書きは『怪客』と通じている。本作も途中までは『怪客』同様に善悪の攻防戦がメインとして描かれているが、途中で本筋から外れて寄り道したせいか、なんとももどかしい出来になってしまった。
功夫アクションについても思い切りに欠けており、魯俊谷や權永文なんかはほとんどその他大勢的なキャラで、非常に勿体無い扱われ方をしている。最後はテコンドー道場と日本人との全面対決に雪崩れ込むのだが、こちらも出来はまずまず。タイトルにある空手も出てこないし、白彪VS陳鴻烈ももっさり気味であまり良いものではない(余談だが、この2人が闘う寺院のような場所は『蛇鶴八拳』の冒頭に登場したあの寺である)。
ストレートな作りにしていれば幾分か見られただろうが、中途半端にドラマへ走ったために作品そのものが中途半端になってしまった奇異な作品。とはいえ、このような失敗を経て『怪客』という傑作へ行き着いたと考えると、単に珍作と片付けるには惜しいのではないだろうか。