『バレット・フィスト』 | 続・功夫電影専科

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香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「バレット・フィスト」
原題:KAMPFANSAGE - DER LETZTE SCHULER
製作:2005年

▼新たなるアクション超人、マティス・ラントヴェアーの主演作である。
実は私はマティスの主演作を見るのはこれが2度目で、もうひとつの主演作である『死亡特急』も既に視聴済み。『死亡特急』はアクション映画としてもかなりの完成度を誇っており、マティス自身のアクションシーンも迫力満点な傑作だ。しかしマーシャルアーツ映画として見ると、今ひとつ格闘アクションの数が少ない気がしないでもない。そんなわけで、今回レビューする彼の主演作はこちらにした次第である。

■199X年・世界は核の炎に包まれた…じゃなくて(爆)、2045年・世界は戦争によって荒廃していた。
近代兵器は廃れ、古流武術を身に付けた暴君と配下の軍団は一国を統治下に置いていた。暴君は武術家狩りを開始し、迫害された武術家たちは一冊の本に自分たちの奥義を書き記しては命を落としていった。この負の連鎖を断ち切ったのは、最後の1人となったある達人だった。暴君は死に、国は平和を取り戻す…筈だったのだが、暴君の息子とその姉が後を継ぎ、遂には最後の達人を死に至らしめて奥義書までもを奪い去ってしまったのだ。
最後の達人の弟子だったマティスも殺されそうになったのだが、運良くキャンピングカーに住んでいる女性に助けられ、一命を取り留めていた。傷の癒えたマティスはかつて達人と共に暮らしていた街に戻るが、そこは既に暴君の息子によって死の街となっていた。地下に潜っていた者たちと協力して奥義書を奪還し、反撃を続けるマティスたち。しかし仲間のリーダーが捕らえられ、暴君の息子が訓練した特殊部隊によって多くの仲間が傷つけられた。全ての落とし前を付けるべく、マティスは敵の根城へと単身踏み込んでいく…!

▲…という訳で長々と紹介してきたが、見ての通りこの作品は『北斗の拳』っぽい物語だ。
さしずめマティスはケンシロウで、暴君の息子はシンで、仲間のリーダーはレイで、ヒロインはユリアといったところだろうか(まぁ、ヒゲモジャなレイとか姉にヘコヘコしているシンとかは無理があるが・笑)。荒廃した世界観といい、敵の兵士が思いっきり頭が悪そうなところといい、拳が世界を支配する設定といい、ゲイリー・ダニエルズの『北斗の拳』よりも非常に「らしい」作品となっている。
実際、ストーリーの中身も定石通りの展開ばかりで、あまり目新しさは感じられない。だが本作に関して言えばストーリーなんて添え物でしかない。本作の見どころは、マティスたちの素晴らしい格闘アクションそのものにあるのだ。
オープニングのマティスによる見事な演舞シーンから始まって、街に着いた早々に敵の兵士との集団戦、地下でのリーダーとの棍術→拳でのバトルと、前半だけでもハイクオリティなバトルがこれでもかと炸裂!後半からは敵の特殊部隊との対決になるが、こちらでもマティスたちは大暴れを見せ、ラストのマティスVS暴君の息子の死闘も素晴らしい出来栄えだ。殺陣は手技も足技も満遍無く見せる『ダークブレイド』タイプのスタイルだが、完成度に関してはもちろんこちらの方が五倍ぐらい上である。
個人的に一番お気に入りなのが、前半のマティスVSリーダーとの対決だ。マーシャルアーツ映画ではウェポンバトル自体珍しい気もするが、まさかここまで激しい棍術バトルが見られるとは驚きだ。そして何よりも、香港系のスタッフが誰一人関わっていないマーシャルアーツ映画でも、ここまで良質のアクションが出来るようになったんだなぁ…と、少し感慨深いものを感じてしまいました。
全体的な出来は『死亡特急』の方が上だが、マティスの格闘シーンを見たい方は本作のほうがオススメ。ストーリーは弱いものの、全編に渡ってアクションのつるべ打ちなので、見て損は無いかと。