
「地獄の捜査線」
原題:LOGAN'S WAR: BOUND BY HONOR
製作:1998年
●本作は「チャック・ノリスVSキャデラック」という売り文句にどことなく不安を感じたため、中古で購入しておきながら中々見る気の起きなかった作品だ(苦笑)。まぁ確かにヌルめの作品である事は確かで、『地獄のステルスコマンド』同様に後進指導モノの要素も含んでいる。物語は定石通りの展開ばかりだが、これを良しとするか否とするかで本作の評価は割れる事と思われる。
とある検事がマフィアを訴え、その刺客によって一家ともども皆殺しにされるところから本作は幕を開ける。検事の兄弟であるノリスは、唯一生き残った検事の息子を引き取って育てる事になった。最初は家族を殺された事にショックを受けていた息子だが、次第にノリスとの交流で心を開いていき、いつしかエディ・シブリアンへと成長を遂げていた。エディは陸軍のレンジャー部隊に入隊したりと充実した日々を送っていたが、家族を亡き者にしたマフィアへの怒りは健在だった。
軍を除隊したエディはマフィア一家への復讐を開始し、身分を隠して敵の内部へと潜り込む。任務をこなして信頼を得たエディは一家の仲間入りを果たすが、そこで遂に自らの正体を明かした。ノリスも駆けつけた一大決戦は、壮絶な銃撃戦の末にエディVSマフィア幹部の一騎打ちと、ノリスVS逃走を図るマフィアのボス…が乗ったキャデラックへと移行(笑)。最後の死闘が始まるのだった。
まぁ元はTVムービーということなので、ストーリーの規模はこんなものか。だが爆破スタントなどの視覚効果にも力を入れており、ノリスと共に本作の主演を飾るエディも格好良く撮れている。格闘アクション的には双方ともいい動きをしており、こちらに関しても合格点。ノリスは『デルタ・フォース』を髣髴とさせ、エディはキックボクサースタイルでそれぞれ頑張っている(欲を言えばエディのアクションをもう少し見たかったところだが)。
ただひとつ、合点が付かない所は本作の結末だろうか。劇中で復讐を遂げる決意を固めたエディに対し、ノリスは「復讐をすれば元の生活には戻れない」と何度も指摘している。ということは、このあとエディは復讐心に打ち勝ち、マフィアのボスをFBIに引き渡して不殺を貫くのでは…と私は予想した。が、クライマックスではご覧の通り、ノリスともども悪党をボコボコ殺しまくっていた。じゃあエディは警察に御用になるのかと思いきや、最後はノリスとの別れのシーンだけで本作は終わっている(エディが逮捕されたような描写は無い)。
まぁ、大活躍したヒーローが警察に出頭するなんて描写は、重くなりそうだから入れなかったのだろう。しかし復讐に対してあれこれ語っていたのに、結局エディ自身には何のお咎めも無いまま完結してしまうのには、ちょっと違和感を感じざるを得ない。せめてFBIの捜査官がジャッキーの『ポリス・ストーリー』みたいに「私は何も見ていない」と見逃してくれる場面があれば納得できたものだが…。
この他にもDVに苦しむ少年との交流がサイドエピソードとして挟まれるが、この話は物語の本筋とは一切関係がない。父親に抗う少年の姿を見て、エディが自分自身の復讐心に疑問を抱く…なんてシーンがあったら、作品に更なる深みが出ていたはず。全体的に無難な作りの本作だが、もう少し背伸びをしてもよかったのでは?