
「バトル・ヒーロー/秘宝強奪作戦」
英題:BATTLE FOR THE TREASURE
製作:1987年
●既に脇役王さんのサイトで紹介されているのでご存じの方も多いと思うが、本作はフィルマークが製作した戦争アクションである。
当初、この作品はニコイチではない完全新作だと思っていたが、どうやらこの作品もニコイチらしい。冒頭に出てくる宝を手にして襲撃を受ける兵士と、主人公に接触してくる白人(このあとベトコンに撃ち殺される)が追加撮影のようだ。もっとも、元ネタが列車を使ったアクションやヘリを使った戦闘シーンなど、それなりに見栄えのある構図が多い。そのため本作におけるニコイチ部分はかなり少なく、フィルマーク側も無理をして追加撮影を挿入しようとは思わなかったのだろう。
ストーリーはクメール王朝の秘宝と王女を奪回すべく、主人公たちがベトコンにケンカを売るという話だ。恐らく元ネタの作品はタイかどっかの映画かと思われるが、要所要所に見せ場を配していて手堅い作りとなっている。残念ながら作品としてはそんなに面白くないのだが、本作には脇役王さんも取り上げている、ある大物ゲストが2人登場しているのだ。
というのも、敵の基地を襲撃しようとして捕まってしまう部隊の1人にあの姜大衛(デビッド・チャン)が、そしてその基地を仕切っているボスとして徐少強(ツイ・シャオキン)が登場するのだ。ショウブラスターのまさかの登場に驚いたが、ふとココで思った。この姜大衛らが出てくる場面も、別の映画から持ってきたのではないか…と。つまり、この姜大衛が登場するシーンは、本作で根本として扱われている主人公たちが活躍する作品とは違う作品から持ってきたのではないかと私は思ったのだ。
似たような顔の俳優ばっかり出てくるので判別が難しいが、姜大衛らの登場があまりにも唐突だった事と、姜大衛たちの格好が奇抜だった事などから考えるに、このシーンは別の映画から引っ張ってきた可能性が高い。フィルマークによる追加撮影だったという説も考えた(フィルマークの主要スタッフである何誌強はショウブラ出身であり、張徹のところにいたから姜大衛たちと接点があってもおかしくはないので、無理をすればフィルマーク作品に出られなくもない)が、これは姜大衛や徐少強の顔立ちと、本作の製作年度を考慮する事で否定された。
本作での姜大衛は痩せていて、少なくとも70年代~80年代前半ごろのものと推測される。だが、本作の製作時期である1987年ごろの姜大衛は既に老けており、顔の感じも本作と比較すると随分と違う。徐少強に関しても同様で、少なくともこのフッテージがフィルマークの手によるものでないことはこれでハッキリ出来た。しかし、ここで更に別の問題が浮上する。それはこの姜大衛と徐少強が出演した映画は、一体何なのかという事だ。
70年代~80年代前半の姜大衛と徐少強といえば、まだ現役バリバリのショウブラスターとして活躍していた頃。ショウブラは容易に他社へスターを貸し出すことは無かったというが、80年代に入ってからは姜大衛も徐少強も他のプロダクションの作品に少しずつだが出演している。フッテージの様子から見てショウブラ作品でない事は明白なので、この場面は80年代前半に撮られたものと見て間違いないだろう。
本作を大体まとめてみるとこうなる。本筋となる秘宝と王女救出作戦はタイかどこかの映画から持ってきたもので、そこに姜大衛と徐少強が出演した作品(こちらも東南アジアかどこかの映画か?結局何の作品かは不明)を中盤に挿入し、申し訳程度に新規部分を継ぎ足した。それがこの『バトル・ヒーロー/秘宝強奪作戦』という作品の正体なのではないだろうか。
もっとも、姜大衛が出てくるフッテージで本筋にも登場したハンググライダーが出てくるので、本筋と姜大衛のフッテージは同一のものであるという可能性も捨て切れない。本作の更に詳しい真相と姜大衛らが出た作品についてご存知の方は、どうか当ブログまでご一報を…って、その前にこんなゴミ映画を見た人が物好きが他にいるかどうかという話なのだが、これこそ本作での1番の謎と言えるのかも知れない(爆
※…追記
姜大衛と徐少強の出演フッテージはタイ映画からのものであると判明(道理で香港映画のデータベースサイトを探しても出てこない訳です)。製作年度はおおかたの予想通り、1983年の作品である事も解りました。情報提供はドラゴンさん…多謝!