
「カンフーキッド/好小子」
好小子
Kung Fu Kids/Young Dragons Kung Fu Kids
1985
●功夫映画に一石を投じた黄一龍の存在。しかし彼に継ぐ後進が成されなかったことで、次なる好小子たちの登場はしばしのブランクを挟む事になった。本作は日本でもそこそこヒットした作品で、好小子の系列を決定的に形作るきっかけとなった記念すべき作品でもある(ちなみに、本作にはそれとは別にもう1つの大きなポイントが存在するが、それは後述)。
顏正國・左孝虎・陳崇榮の三人兄弟は、怖いおじいちゃんの陳慧樓(チェン・ウェイロー)のもと、山奥で暮らしていた。ある時、三人は陳慧樓と別れたおばあちゃんを探して町に行く事を決意する。初めての大都会に山育ちの三人は行く先々で大騒動を引き起こすが、なんとかおばあちゃんと再会を果たした。だが、三人を利用しようとしていたマフィアに妹をさらわれ、三人は単身組織へと立ち向かっていくのだった…と、物語はこんな感じだ。
本作で一番画期的だったのは、あくまで引き立て役に徹していた黄一龍(『三毛流浪記』は主演だが、クライマックスは王虎に持って行かれる)の立ち位置から一歩進んで、完全に好小子が主役となっている点にある。
幾多の功夫猛者と渡り合った黄一龍を引き合いに出すまでも無く、子供が功夫アクションをするならまず第一に求められるのが肉体的なポテンシャルである。本作に於ける顏正國ら三人の活躍ぶりはかなりのもので、十分良い動きをしている(やられ役のスタントも含めて)。
アクロバティックな動作と柔らかい体を駆使していた黄一龍のスタイルに対し、三人の場合はヌンチャクアクションや李小龍のパロディなど、現代的な味付けを加えたものを構築している。残念ながら殺陣はややバリエーション不足にも思えるが、これだけやってくれれば十分だろう。なお、武術指導を担当した林萬掌は本作の監督である朱延平(チュー・イェンピン)の作品に多数参加。倉田保昭の『悪漢列伝』では危険なスタントを交えたアクションで彩っている。
そして先述したが、本作にはある特異な特長がある。
もともと、彼ら三人の登場以前に日本で公開された功夫映画は、そのほとんどがジャッキーの影響下にあった。サモハンやユンピョウもジャッキー人気のあおりで日本に紹介され、似たようなことは李小龍の登場でフィーチャーされた王羽や倉田保昭、李連杰の登場で便乗して主演作が日本公開された劉家輝にも言える。これは以前『香港麻薬捜査官』の項でも語った話だが、本作はそれらとは違う、完全に新しい形式の作品として紹介された功夫映画なのだ。
ジャッキーが日本を席巻していた当時、ジャッキーの影響下ではない状態で日本でブレイクした功夫映画は、キョンシーと『少林寺』の李連杰と本作しかいない。そう考えるとこの作品、かなり希有なものだと思えてくる。
それでいて彼らがその後ヒットに恵まれなかったのは、本作の公開以降日本でリリースされた続編がビデオスルーだった事など、色々要因が考えられる。今では時代のアダ花と化している本作。しかし好小子系列の作品では間違いなく傑作であり、以後の好小子に路を作った作品として、再評価されるべき時ではないだろうか。