
大武士與小[金票]客/大武士與小票客
Hero of the Wild/Heroes of Shaolin
1977
▼前回触れた黄一龍は、どちらかというと独立プロを渡り歩いた好小子だったが、逆に大手から羽ばたいた好小子も存在した。それが本作の主役である丁華寵だ。彼はショウブラで『紅孩兒』『八道樓子』『馬哥波羅』などの張徹作品に出演している。
以後、丁華寵は独立プロで活躍していくが、1960年生まの彼は1964年生まれの黄一龍よりも年上である。本作の撮影当時は17歳ぐらいだったと見られ、好小子とは言い辛い…というか、はっきり言って本作は好小子系列の作品ではないのだが、黄一龍と同年代のスターで、彼意外にもこのような人がいたということを知って頂きたく、敢えてこの特集に取り上げる次第であります。
■凧揚げを楽しむ丁華寵と師匠の元に、かつて師匠に敗北した陳星(チェン・シン)が現れた。勝負の末に師匠は死に、丁華寵は仇討ちを試みるが軽くいなされてしまう。
「仇を取りたいのなら俺と付いて来い」と呟く陳星に、丁華寵は追従した。陳星は旅の武芸者で、丁華寵の拾った犬を殺したりと非情な顔を見せる一方で、傷付いた丁華寵を看病したり、売られそうになった娘さんを助けたりと、その行動は要領を得ないが…。
陳星と丁華寵は相反しながらも同じ道を進み、丁華寵は陳星に教えを受けるが、仇討ちは忘れていなかった。だが、幾多の敵が襲い来る中で、いつしか仇討ち相手に情を感じ始めていた丁華寵…それは、陳星も同じだった。一方、陳星と対立している黄正利(ウォン・チェン・リー)の一派は、羅烈・ユンピョウ&元奎・龍君兒と、次々に刺客を送ってくる。どうやら陳星とは、大きな因縁のある相手らしい(英語吹替えだと細部に関しては不明)。
そして、ついに黄正利の登場となったが、さすがの陳星でも黄正利には苦戦し、敗北してしまう。そこで丁華寵が立ち上がり、陳星に代わって強豪たちと闘おうとするのだが、突然として龍君兒らを鬼面の刺客(冒頭でも陳星と接触)が殺害!続いていよいよ最後の決戦に挑もうという陳星と黄正利の間にも鬼面の刺客が割り込み、黄正利をも屠った。果たして、この鬼面の刺客の正体は!?
…って、残っている疑わしい人物は1人しかいないんですがねぇ(苦笑
▲丁華寵のアクションセンスは、本作に登場する数多の猛者を相手にしても引けを取らないものだった。流石に本作を好小子系列としてカウントするかどうかは微妙なところだが、若干17歳(推定)にしては結構な頑張りようではなかっただろうか。ルックスもそれなりに決まっているし、その後ブレイクしなかったことが不思議である。
また、ストーリーもアクションも凝った内容の本作は、単なる復讐劇に終わらないようなものになっている。丁華寵と陳星の一筋縄ではいかない顛末や、鬼面の刺客の正体も含めて、なかなか独創的な作品となっているのも評価できる。ここらへんは脚本に参加した倪匡(イ・クオン)の労力だろうか。
そして、本作には『詠春興截拳』同様に、なんとなく呉思遠(ン・シーユエン)の匂いが感じられるのだ。陳星・黄正利・武術指導も兼ねているユンピョウと元奎と袁信義の存在…その他にも、一部過去の呉思遠作品でも見たロケ地があったり、単なる功夫片に終わっていない物語の構成などなど、呉思遠の関与があったと思しきポイントがいくつか確認できるが…?