『危情追蹤/危情追踪』 | 続・功夫電影専科

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香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


危情追蹤/危情追踪
Yes Madam 5
1996

●これは英文タイトルを見て?と思った作品である。
本作の英文タイトルは上記の通り『Yes Madam 5』なのだが、『Yes Madam』といえば楊紫瓊(ミシェール・ヨー)の『レディ・ハード/香港大捜査線』の英文タイトルだ。ということは本作は『皇家師祖』シリーズの1つなのかというと、それはまた違う。
実は『皇家師祖』シリーズには『皇家師姐5中間人』という立派な第5弾が存在しており、本作の製作会社はD&Dでは無い。この当時、女刑事アクションはリンチェイ映画のようなワイヤーアクションに取って代わられ、完全に下火になりつつあった。そんな中で10年以上前の映画の看板を引っ張り出してくるのもおかしな話だ。どうしてこの英語タイトルにしたのか一抹の疑問が残る。
さて肝心の内容は、中国の刑事である楊麗(シンシア・カーン)が、マレーシアに飛んだ麻薬組織の高飛(コー・フェイ)や周比利(ビリー・チョウ)と戦う話である。そこに銭小豪(チン・シウホウ)が絡んでひと波乱あるのだが、本作はここで一番損をしてしまっている。
元来、女刑事アクションといえば、男はあまり活躍せず、暗めのムードの中で敢然と悪に立ち向かうという図式が一般的だった。ところが本作では楊麗と銭小豪の恋愛ドラマが挟まっており、これが作品のテンポ自体をも狂わせている。この手の作品ではバリバリ活躍しているはずの高飛や周比利はクライマックスを除いてほとんどアクションを見せないし、その手の白熱したバトルを期待していた人からすれば、かなり肩透かしを食らう内容なのだ。
逆に考えれば、いつも血みどろアクションばかりだった楊麗が女らしく恋に悩む場面は新鮮ではある。しかしそれも際立って面白いものでもないのが正直な感想だった。
ところで余談だが、倪星(コリン・チョウ…今回は前半で退場する損な役)がヒロインの家に尋ねに行った時、彼女の部屋のTVに映っていた番組はなぜか『ウルトラマンタロウ』だったりする(一瞬だが東光太郎こと篠田三郎の顔が確認できる)。当時は香港で再放送でもされていたのだろうか?ささやかな疑問です。