‘60年代ギター・ロック最高の1曲! | 人生は野菜スープ~アエリエルのブログ、または午前0時&午後3時毎日更新の男

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元職・雑誌フリーライター。バツイチ独身。午前0時か午後3時に定期更新。主な内容は軽音楽(ジャズ、ロック)、文学(現代詩)の紹介・感想文です。ブロガーならぬ一介の閑人にて無内容・無知ご容赦ください。

バブル・パピー - ホット・スモーク&ササフラス (International Artists, 1969)
Bubble Puppy - Hot Smoke & Sasafrass (Rod Prince, Roy Cox) (International Artists, 1969, US#14, CA#15, AUS#39) - 2:30 :  

[ Bubble Puppy ]
Rod Prince - lead guitar, vocals
Roy Cox - (died 3 April 2013) bass guitar, vocals
Todd Potter - lead guitar, vocals
David Fore - drums, vocals

 ‘60年代ギター・ロック最高のナンバーと知る人ぞ知るこの曲は、ザ・13thフロア・エレベーターズやレッド・クレイオラらサイケデリック・モンスター級のバンドを送り出したテキサスのインディー・レーベル、インターナショナル・アーティスツ(1966年創業)がリリースしたバンドの中でも全米14位・カナダ15位・オーストラリア39位と、レーベルきってのシングル・ヒットとなったナンバーです。エレベーターズやクレイオラのようなイノヴェーター的サウンドとまでは言えないまでも、一度聴いたら忘れられないツイン・ギターのドライヴィンク・チューンで、同曲をオープニング曲としたデビュー・アルバム『A Gathering of Promises』もチャーミングなジャケット(メンバーのコスチュームの由来は、テキサスが元フランス領だったからでしょう笑)始め全曲ロッド・プリンス(リード・ギター)とロイ・コックス(ベース)の共作オリジナル曲の、なかなかの内容を誇りますが、この1曲が突出している(他の曲も同じように聴こえる)ため割を食った観があります。逆に言えばA面冒頭のこの「ホット・スモーク&ササフラス」1曲だけのためにも価値のあるアルバムで、2ギター・バンドのサイケデリック・アルバムとしてはオートサルヴェージ(ラヴィン・スブーンフルのスティーヴ・ブーンの弟、スキップ・ブーンのバンド)の唯一作『Autosalvage』(RCA Victor, 1968)と並ぶ(オートサルヴェージも全曲佳曲揃いです)アルバムと言っていいでしょう。
Autosalvage - Autosalvage (from the album “Autosalvage“, RCA Victor, 1968) :   

 オートサルヴェージ、バブル・パピーを聴いているとワイヤーやXTCなど2ギター編成のポスト・パンク・バンドのサウンドをほとんど先取りしていて、サイケデリックではあってもヒッピー色は稀薄なオートサルヴェージ、バブル・パピーらが偶然ワイヤーやXTCらポスト・パンクのバンドの指向性に一致したのは、ロック史における隔世遺伝のような現象です。バブル・パピーのメンバーは‘70年代にはハードロック・バンド、ダミアンを結成して活動を続けますが、サウンドはより重厚になって‘70年代なソリッドさに進展したものの、バブル・パピー時代のようなサーフィン~ホッド・ロッド的な(何なら寺内タケシ&バニーズ的と言ってもいい)軽やかさは失ってしまうので、バンドの生き延び方も難しいものです。なおバブル・パピーは1987年に一時的再結成アルバムをリリースしたのち2011年~2018年に再結成し、2017年にはサード・アルバムを発表しており、オリジナル・メンバーの逝去により多少メンバーは入れ替わったものの、今でも時々地元テキサスを中心にライヴ活動しているようで、‘60年代と変わらない作風に回帰したライヴ映像を観ると、何とも麗しい気がします。
Bubble Puppy - Hot Smoke & Sasafrass (Live at Hanovers, February 27, 2016) :