器楽曲を弾いていると、言葉のない方がいいのです。イタリア語やドイツ語やフランス語では劇場で聴いていても理解できないからです。
思い出すのが、学生時代にイタリアオペラが来ました。NHKの招聘で初めて日本にジュリエッタ・シミオナート(メゾソプラノ)<右写真・ウイキペディアより>やレナータ・テバルディ(ソプラノ)などのイタリア歌手が数人やって来て、確か今のみゆき座で公演が行われたのです。ヨーロッパならどこの町にもあるオペラ座がない時代ですから仕方がないのです。このイタリアオペラのこと覚えてらっしゃる方はいますか?古いですからね。
出し物の一つにヴェルディの「アイーダ」がありました。話は古代エジプトとエチオピアに引き裂かれた恋の物語で、やたらと登場人物が多いのです。正式なエキストラは音大生などになるのでしょうが、取りあえず代役のエキストラの要請を主要大学のオーケストラに来たのです。
員数合せですから、ただぞろぞろと舞台を歩くだけです。面白い経験でした。これでオペラが好きになったかと言えば、全然でした。若い頃に見に行ったのはド二ゼッティの「愛の妙薬」、この「アイーダ」とビゼーの「カルメン」くらいでしょう。
ヨーロッパに行っても、ミラノやパリやウィーンなどオペラ座は素通りして器楽コンサートばかり探してました。フランスオペラはスキャンダラスな話が多いみたいです。ビゼーの「カルメン」もふしだらで初演は不成功であったとか。この曲も「カルメン組曲」として器楽曲に編曲されています。
マスネーのオペラ「タイス」も4世頃の修道僧と娼婦の話で、かなりふしだらな話です。ただこのオペラの幕間に演奏される間奏曲「タイスの瞑想曲」は実に美しい。誰でも聞いたことがあるメロディーですね。
タイスの瞑想曲/ナイジェル・ケネディ
ただAndante religioso(信仰深いアンダンテ)ってどんなものか。ここに挙げた動画のナイジェル・ケネディはジャズもクラシックもこなすイギリスの名手で、曲のテンポが一番ゆったりしいて、静かで表情も豊かで、美しい演奏です。私は大好きです。私もこのように弾けたらな~て思います。9月になっても台風、台風で落ち着かないですが、気休めに一曲どうでしょうか。
Viosan の「ミネソタの遠い日々」
1970年に私たち夫婦・子供連れでミネソタ大学(University of Minnesota)へ留学した記録のホームページ
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