弦楽器も人間と同様に定期健診が必要だし、場合によっては入院が必要になってくる。私のヴァイオリンは93年制作のイタリア、ラベンナのミノッツィさん の新作ですが、購入してから4度ほど楽器屋さんに診てもらっています。4度じゃ少ない方かもね。
前の2回は裏板の剥がれで、気が付かないで調整に出したら「剥がれてます」って、即直してもらった。弦楽器は微妙ですね。剥げるのは困るが、剥げてくれないと制作者や修理屋さんが困るでしょう。木製の手工業製品ですから、修理するのにパーツをパラバラにする必要もあります。
最初は購入して2年目くらいで剥げた。「イタリアのノリは日本の気候に合わないんですよ」って楽器屋の主人が笑っていた。調整だけなら近くの内科でインフルエンザのワクチン注射をうってもらうようなもの。剥がれたら整形外科に行くみたいなもので、今度は皮膚科にお世話になったみたい。勿論、楽器屋だが。
半年前に中国製の子供・大人兼用のアジャスタブルという変な肩当を使う機会があり、少し小さかったが無理にはめた。外す時に外れなくなり、しゃにむに引き抜いたら楽器に傷がついてしまった。音には影響がないので、そのまま弾いていた。余り見てくれがよろしくないので、再度入院することにした。
「一カ月以上かかりますが」
「学生時代に弾いてい楽器がありますから、何日掛かってもいいですよ」
そしたら本当に1か月半たって、「出来ました」って電話がありました。
昔、知り合いを通じてプロのオーケストラのチェロ奏者に2度にわたりチェロを貸してあげたことがある。その時は彼のチェロが静岡の楽器屋に修理に出していて2か月位かかると言う。我が家にはチェロが二台あるので一台目は国内の演奏会用に貸してあげた。二度目はオケがアメリカに演奏旅行に行くので、保険を掛けるから、アメリカに持って行っていいですか?仕方がないのでミノッツィさんに直接会って作ってもらったチェロを貸してあげたことがあった。大々的に補修するとニスの塗りが入り時間がかかるのだろう。
今度の私の楽器も塗りが必要で、塗っては乾かし塗っては乾かしで1か月半かかった。中には30回以上もニスを塗る制作者がイタリアにはいるらしい。今回は調整もしてもらったので、音は随分とよくなった。
ついでに一番細いE線も買ってきた。ワンダートーンという銘柄で、一年前に使っていたのだが1か月で断線してしまった。このE線は素晴らしい音色で、まさにキラキラと輝くようだった。弦も楽器と相性があるから、全ての楽器に合うとは限らない。最初A線が鳴らなくて色々のメーカーの弦を試して、やっと今使っている弦に落ちつきました。
ピアノは音が狂うと調律師に任せないとどうにもなりません。弦楽器はギターやマンドリンを含め自分で調音するから費用は掛からない。以前ピアノの調律をよくお願いしていたのですが、調律師にお願いすると結構代金が掛かってしまう。それに比べて弦楽器は安い方ですね。
Viosan の「ミネソタの遠い日々」
1970年に私たち夫婦・子供連れでミネソタ大学(University of Minnesota)へ留学した記録のホームページにもどうぞ
