私は30歳代の初めにアメリカに留学しました。私の人生の転換期でした。大学卒業と同時にヴァイオリンから離れて行き、以後30年近くヴァイオリンに触れませんでした。
その頃はフォークソングの全盛期で、ビートルズは解散し、彼らの時代は終わっていました。その後ボブ・ディラン、PPM、サイモンとガーファンクル、ジョン・デンバーなどのフォークシンガーがアメリアのポップス界をリードした時代です。アメリカではヒッピー族や同性愛者が出てきて、ホットパンツにノーブラジャーが現れ、時代が変わり始めました。
そんな時に私の心を捉えてのが、クラシック音楽ではなく、ニューヨークのブロンクスで育ったユダヤ系のサイモンとガーファンクルでした。留学に旅立つ時に私の心の中で微かに響いていたのは彼らの「Sound of Silence」(サウンド・オブ・サイレンス)でした。
この曲についてカナダでのライブでサイモンはこう述べています。「私には問題がありました。知性の面でなくて、感情的に他人と話が出来ない、触ることも、恋することも出来ない。そんな気持ちを歌ったものです」。当時の私は似たよなものだったかも知れません。
未知の世界に己を置いて試して見たかったのかも知れません。会社の毎日から学生生活に戻るのは結構大変で、学業や勉学で辛い時には「Boxer」(ボクサー)という曲を聴いて己を励ましました。
ホームシックになったら「Homeward Bound」(早く家に帰りたい)で心を慰めることもありました。
友人達と別れて帰国する時には「Bridge Over Troubled Water」(明日に架ける橋) を口ずさんで、明日を信じたものです。そして変わりました、私自身も、全てが。
この他には映画『卒業』でご存じの「スカボロー・フェア」や「ミセス・ロビンソン」など、多数の名曲があります。スペースの関係で英語の歌詞を翻訳しませんでしたが、ご容赦ください。これ等の曲を聴くと、昔を思い出し、今でも私の心が震えます。
Viosan の「ミネソタの遠い日々」
1970年に私たち夫婦・子供連れでミネソタ大学(University of Minnesota)へ留学した記録のホームページ
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