まだ秋の夜長は先の話ですが、書斎に本が少しずつ溢れてくるので、本棚を整理していたら、こんな本が出てきました。10年以上前に購入した本で、少し黄ばんでいます。手に取り、再読してみました。
読んだ方もいるかも知れませんが、タイトルが示す通りパリ左岸にあるピアノ工房での話です。著者はT.E.カーハートというアメリカ人で、彼のデビュー作で、実話風に書かれています。
パリに勤務していた頃、彼はピアノのない生活をどうにかしようと中古のピアノを探すところから始まります。パリのアパートは手狭でグランドピアノを置くほど広くないのです。左岸の狭い通りに工房を発見。店の雰囲気や店主の対応など、いかにもフランスらしい保守的で頑固なところが面白いです。
ピアノの専門書でもないし、ピアノに興味のある人なら、面白く読める本です。店主は頑固者ですが、そのうち店の若い修理技師、リュックと仲良くなり、店の奥の工房を見せてもらいます。40台から50台に及ぶ中古ピアノが乱雑に置かれいます。ショパンが弾いた時代のプレイエル、エラール、初期のスタインウェイ、べーゼンドルファー、ベヒシュタイン、等々、みな古い時代の名器です。リュックは古物の鑑定士の如く、どんな古いピアノでもつぶさに調べてその来歴が解るのです。
圧巻は「ベート-ベンのピアノ」と題する章で18世紀の古い名器の話ですが、「ヨハン・ゴッティング、ウィーン」と制作者の名前があるピアノ。ベートーベンが弾かなかったかも知れないし、弾いたかも知れないと言う。ベートーベンはこうゆう新しい技術を使ったピアノに目がなかったから。
24章からなる300ページ程の本ですが、読み終わると、古いピアノの黒いイメージが眼前に飛来します。楽しい本です。
Viosan の「ミネソタの遠い日々」
1970年に私たち夫婦・子供連れでミネソタ大学(University of Minnesota)へ留学した記録のホームページにもどうぞ
