約束の11時になった。ホテルに戻ると、マリーが待っていた。
「最初に何処へ行こうか」
「モントリオール・オリンピックの会場を見に行きましょうよ」
「余り関心はないけどもね」
「でも、展望台に登れば街を一望できるのよ」
地下鉄に乗って行くことにした。オリンピックパークは街の北側にありすぐ着いた。植物園やゴルフ場もある広い公園だ。
マリーはフランス系カナダ人で、以前は日本企業のモントリオール支社に勤めていたという。そこの日本人の上司に大変世話になったらしい。いまは色々事情があって辞めたが、職を探すなら日本企業がいいという。
我々に声を掛けたのも、そんな日本人とみてのことだったらしい。
「私はアメリカ企業の日本支社で働いているし、その会社のカナダ支社は遠く離れたロンドン市(イギリスのロンドンとは違うカナダの町)にあるしね」
1976年におこなわれた夏のオリンピック。大変な赤字のオリンピックだったらしいが、メイン・スタジアムはなかなか立派である。観光客が団体で来ている。カナダ唯一のメージャー・リーグのエクスポがここを本拠地にしていたが、いまはワシントンに売却されてしまった。
モントリオール五輪と云えば、コマネチが史上初の10点満点を連発した大会として記憶に残る。尚、この大会で日本の女子バレーボールチームが金メダルを取っている。
塔に登ってみた。展望台がある。高所恐怖症なので、高いところは苦手である。
遠くにモントリオールの市街地が望める。そばを流れるセント・ローレンス川が白く輝いている。オンタリオ湖から流れ出たこの川の下流にケベック・シティがあり、更に北上して大河となり、大西洋に注ぎ込む。
Viosan の「ミネソタの遠い日々」
1970年に私たち夫婦・子供連れでミネソタ大学(University of Minnesota)へ留学した記録のホームページにもどうぞ
