アルペジオーネ四重奏団 - 044 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

 第一ヴァイオリンはイザベル・フロリーという女性ヴァイオリニストで、女性にしては少々粗っぼい演奏だが力はある。4人の演奏はどうみてもフランス的とは言い難い。繊細さに欠ける。

遠い夏に想いを-プログラム
 ハイドンの76の2というのは、通称「五度」という名で呼ばれるポピュラーな曲である。短調で始まり、かなりの緊張感が要求される。ハイドンとしては重厚な曲で、モーツアルトの弦楽四重奏を連想させる。第一ヴァイオリンが時々粗っぽっくなるが、リズム感とアンサンブルはなかなかいい。


 次の曲はモーツアルトの曲だ。ハイドンセットは14番から19番まで6曲あり、この曲は5曲目の18番でK464の弦楽四重奏曲になる。ハイドンセットと呼ばれる6曲の弦楽四重奏曲は勿論ハイドンに献呈されてこの愛称が付いている。モーツアルトは作曲が速い方なのだが、この一連の曲には相当の手間暇を掛けたらしい。何度も推敲して、1785年に完成する。17番「狩り」と19番「不協和音」とともにフィガロハウスで完成した。ハイドンに献呈する際、彼の前で演奏した時に、父のレオポルドも一緒にいて、ハイドンはレオポルドに「....あなたのご子息は、私が知る作曲家の中で最も偉大な作曲家です。 ...」と言ったと、レオポルドがナンネルへの手紙に書き送っている。


 モーツアルトが最も幸せの絶頂期にあった頃である。第一楽章は軽やかに始まる。三楽章の後半部で、チェロが少々コミックなタッチでポンポポポンとリズムを取り続ける部分が出てくる。これがなかなかいい。


 ベートーベンの四重奏曲は、作品74の通称「ハープ」と名の付いた第10番目の曲だ。ベートーベンの中期の作品だが、私はどうゆう訳か昔からこの曲がすきだ。1809年頃に書かれたのだが、この時期は、傑作が次々と生まれている。5番と6番の交響曲なども1808年に書かれている。第一楽章にポンポンポンと第一主題に合せてピチカートが軽やかに上昇してくる。丁度ハープの音のように連続して聞こえてくる。チェロから第二ヴァイオリンまで流れるようにピチカートを続けて行くのは結構難しい。この四重奏団はハイドンやモーツアルトよりベートーベンがいい。私の偏見かもしれないが、フランスの四重奏団としては珍しい。


 今夜は大満足の夕べだった。帰るのにも、ホテルが近いから便利だ。やっとウイーンの第一日が終った。


  アルペジオーネ・カルテットは1989年にエヴィアン・コンクールで受賞して以来、国際的キャリアーをスタートした。パリのソルボンヌを拠点とし、フランス国内やザルツブルグの音楽祭にゲスト出演、ロンドンやロスアンジェルスなどでも演奏し、これがウィーンでの初デビューとなる。


 Viosan の「ミネソタの遠い日々」
1970年に私たち夫婦・子供連れでミネソタ大学(University of Minnesota)へ留学した記録のホームページにもどうぞ