すっかり脱線してしまった。私達はシュテファンプラッツに戻って来た。もう時間は5時半を過ぎている。今夜は例のロブコヴィツ邸で音楽会が7時半からある。先に夕食を取っておかないと、食事を食べ損なうので、近くのセルフサービスのレストランに入り、簡単な夕食をとった。時間が早かったが、結構混んでいた。薄暗い店内では、アメリカ人の母親とよく喋る小さな娘、フランス人の若い男と女、ドイツ語で大きな声を張り上げているサラリーマンたち、その他大勢の客で賑わっていた。
ホテルへ戻り、身支度をして出直す。ホテルの前のノイアーマルクト広場を横切って、通りを一本入ったところだから、大した時間はかからない。入り口の大きな木の扉は既に開けられていた。2階に通じる階段を昇るとホールの扉が見える。ホールの名前はエロイカ・ザール。少々早いので、ホールの前で待つことにする。
今日は、"Hommage a Beethoven"と題して、”アルペジオーネ・カルテット” というフランスの弦楽四重奏団の演奏である。扉が開いてホールの中に入った。左右に広いホールで、正面に窓があり演奏者用の椅子や譜面台が置かれている。客席は左右に並べられていて、約20席の椅子が5列に配置されている。100人位は入る。最近、東京でも小さなサロン風の会場で演奏会が開催されるようになったが、このエロイカ・ザールのような由緒あるホールで音楽が聴けるのは素晴らしい。
このホールはその名の通り、ベートーベンの第3番の交響曲「英雄」が初演、と言うより、試演された場所なのだそうだ。試演といっても、弦楽5重奏で、ロブコヴィッツ候と数人の貴族を前にしての演奏だったらしいい。そしてこの交響曲はロブコヴィッツ候に献呈されている。
今夜のプログラムはハイドンの作品76の2、モーツアルトのK464の18番、そしてベートーベンの作品74「ハープ」の3曲だ。
この年の夏の音楽シーズンに「ベート-ベンに賛辞を」というシリーズで二日おきに色々な室内楽コンサートがロブコヴィツ邸、ラズモフスキー邸と国立図書館で開催されていた。
Viosan の「ミネソタの遠い日々」
1970年に私たち夫婦・子供連れでミネソタ大学(University of Minnesota)へ留学した記録のホームページにもどうぞ