ドイツ館とモーツアルト - 035 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

 さてロブコヴィツ邸の次ぎは、明日の演奏会の予約だ。会場まで行かないと、事情がよく判らない。大体の場所は聞いたのだが、方向音痴がだんだんひどくなり、勘だけでは当てにならない。


遠い夏に想いを-ドイツ館
<ドイツ館入口>
 シュテファン教会の近くで、建物の壁に音楽会の張り紙が出ている。よく見るとドイツ館である。ドイツ館というとモーツアルトに関係ある筈だ。そうだ、1881年の5月にザルツブルグ領主のコロレード司教に呼び出された。たまたまウィーンで仕事をしていたモーツアルトはザルツブルグに赴き、大司教と決裂、辞表を叩きつけてウィーンへ帰る。これを知った大司教の部下のアルコ伯が腹を立て、モーツアルトの尻を蹴飛ばし、外に放り出した因縁の場所だ。


 入り口を入ると奥の広場で若い男が即席のテーブルと椅子を置いて、切符を売っている。
「明日ここで、音楽会があるですか」
「そうですよ」
「演奏するホールはあるのですか」
「いま掃除していますから、よかったら見てみますか」

そう告げられて、古い建物の中に入った。


遠い夏に想いを-演奏会場

<ドイツ館ホール>

 右側の建物を少し下がったところで、アッツと驚いた。そこにサロン風の小部屋がある。椅子が並べられているが、40脚くらいしか入らない。壁は壁画で飾られていて、ポンペイの壁画を連想させる少々装飾過剰なデザインだ。電灯照明が無ければ昼でも薄暗いだろう。


 「きれいなホールですね」とお世辞とも付かない、驚きとも付かない言葉を残して会場を去った。まあ、これで2日分の演奏会の切符を手に入れたのだから充分だろう。


 Viosan の「ミネソタの遠い日々」
1970年に私たち夫婦・子供連れでミネソタ大学へ留学した記録のホームページにもどうぞ