デパートを出て、今度は聖母教会へ行く。頭に玉ねぎの穂を載せたような塔が二つ、街中の狭い敷地に見上げるように立っている。15世紀の終りにほぼ完成された聖堂である。まるで、いま買ったばかりのベレー帽を被ったような姿はバイエルン地方独特だ.
アメリカのビールの街ミルウォーキーにもこの二つの塔を持った教会(下の写真)がみられる。ミルウォーキーにもバイエルンから来た人達が大勢いる。
建築材が不足して、大量のレンガを積み上げた建築物だ。イタリアなら大理石を使うだろう。しかし、大理石でなくとも、この聖母教会はフィレンツエのドゥオーモの美しさに決して劣らない。内装はゴシック様式だが柱のデザインは柔らかな装飾が施され、何ともいえない美しさだ。
堂内は意外と明るい。ステンドグラスは赤と黄色と青だが、赤と黄だけが印象的に目に焼き付いている。ローテンブルグのザンクト・ヤコブ教会の主祭壇側のステンドグラスと同じ色彩感覚だ。
聖母教会の裏手に楽器屋がある。行ってみることにする。建物は店舗部分が真新しい白木に飴色のニスを塗っただけのシンプルなものだ。古い街にはこれだけでも新しい感覚になる。二階も廻ってみたが楽譜らしいものは置いていない。店員に聞くと、楽譜はミュンヘンの市庁舎の裏手に店があり、そこで扱っていると言う。そこはここと同じ経営だと言って、印刷した地図片をくれた。店を出る前に、一階でお土産にミニチュアのチェロのを買った。弦は張ってあるが音はでない。

Viosan の「ミネソタの遠い日々」
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