突然、店の前の通りを日本人の若い集団が、しかも、修学旅行の生徒だろうか、店を覗きながらゾロゾロと列を作って通り過ぎて行った。先生が引率しているといっても、こんな夜遅く、しかも余り雰囲気がよくないこの界隈で何をしているのだろう。一瞬、驚いて、開いた口が塞がらなかった。若いうちから他国の習慣や文化に直接触れる機会をもつことはいいことなのだが。
最近、有名高校の修学旅行に海外を訪れるケースが多い。シーズンを外しての団体旅行だから、円高で国内旅行旅行より安上がりだ。中国、東南アジア諸国、オーストラリアはおろか、アメリカ、ヨーロッパにまで足を延ばす。我々の高校時代には考えられない。
ヨーロッパでも昔から近隣の国の子供達が先生に連れられて修学旅行にやってくる。パリでもルーヴルの広場で小学校高学年の子供達がばらばらで歩いている。日本の修学旅行のように統率のとれた集団ではない。子供達に訊くと「スペインから」とか「イタリアから」と答える。ヨーロッパ域内は陸続きだから、他国の文化は自国の文化同様にヨーロッパの遺産として共有する意識が強い。
この店の亭主は痩せて無口で愚直そうな男である。それに反して、女房は体格がよく明るくて活気があり、楽観的な女性で、暗い感じの亭主を励ましている。30代の夫婦だろうか、夫婦の間で喋っている言葉はドイツ語でもイタリア語でもない。
Viosan の「ミネソタの遠い日々」
1970年に私たち夫婦・子供連れでミネソタ大学へ留学した記録のホームページにもどうぞ