雨は一向に降り止まず、寒々しいバスの旅となった。
タウバーの山間を抜けて、バスが停まったのは、クレクリンゲンという村。しかし、タウバー川を渡り、クレクリンゲンの町は迂回してバスは人里離れた場所へ直進する。
「指貫の博物館か教会か、どちらかお好きなところに」とガイドが言う。両方に行く時間はない。ここでも15分くらい停車だから。若いカップルは指貫博物館へ谷の方へ下りて行った。(上は教会)
ノッコは教会の方がいいと言う。バスが停まった右手の土手を登って行くと、古い小さな教会が建っている。ヘルゴット教会といい、14世紀の終りに石造りで建てられた。木の梁があって、バシリカ風の教会だ。
堂内に入ってすぐの真廊の真ん中にマリア像を中央に配した木彫りの祭壇がある。これは素晴らしい彫刻だった。マリアが被昇天して行く瞬間であろうか。祭壇のてっぺんにはイエスの像がある。マリアの足下には、マリアを見上げている女達がいる。彩色はしていないが、白木のままで、何か日本の名工の彫刻を見ているようだ。大変すばらしい祭壇だ。(上はマリア被昇天像)
石像と木造の名手、ティルマン・リーメンシュナイダーによって1505年頃に作られた大傑作だ。ただ私的にはイタリア、パルマにあるドゥオーモの天蓋いっぱいに描かれたコレッジオの「聖母マリアの被昇天」が最高傑作だと思っているが(パルマのドゥオーモはここをクリック)
。(上は祭壇絵)

教会の外は墓地になっていている。イギリスの墓地と異なり、周りには花々が咲き乱れている美しい教会だ。
Viosan の「ミネソタの遠い日々」
1970年に私たち夫婦・子供連れでミネソタ大学へ留学した記録のホームページにもどうぞ