ヴュルツブルグ中央駅 - 029 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

 バスの運転手も気を利かして、もっと手前の橋を渡って市街地を抜けてくれればよいものをと思うが、そうも行かない。街の中央に通じるこの橋はアルテ・マイン橋という歩道橋だからだ。随分市街地を離れた次の橋を渡って駅へ向かった。小雨のなかをバスは駅前に止まった。どうもここから乗車する人がいるらしい。


遠い夏に想いを-駅前通り01  「15分ばかり停車するから、駅のトイレへ行くなり、街を見物するなりご自由に」とガイドに言われても、トイレに行く時間はあるが、街に行く時間などない。ヨーロッパでは、駅は街の中央ではなく外れにあるのが殆どだ。


 結構大きな街だし15分で駅から歩いて市内見物をするのは不可能だ。おまけに、まだ小雨が降っている。






遠い夏に想いを-駅前


 それで2人で駅前の通りまで出てみた。駅前は広場になっており、中央に小さな噴水がある。そこに街の守護聖人である聖キリアンの像が立っている。聖キリアンは7世紀の終りにアイルラドから布教のためにこの地にやって来た聖職者である。キリアン聖堂がある市街地はここから10分は歩かないと行けないから、駅前から街の景観を眺めて写真に収めるしかない。


遠い夏に想いを-駅前通り02  ヴュルツブルグは戦争で街の中心部の90%を破壊された。戦後、昔のままに復元した街であるという。現在の人口は13万人。駅前から遠くを見ると、この街は結構見るべきところが多いようだ。


 モーツアルトは1790年に、前述のレオポルド2世の神聖ローマ皇帝の戴冠式にフランクフルトへ行ったが、途中にヴュルツブルグを訪れている。ウィーンのコンスタツェ宛ての手紙の中で「ヴュルツブルグは綺麗で壮麗な街だ」と誉めている。ミュンヘンのロココ様式が美しいニンフェンブ城を好んだところをみると、彼はロココ様式が美しいこの町が大好きだったようだ。ザルツブルグの町にも似ていたのだろう。彼の音楽にも装飾音符を多用したロココ調の軽快・繊細・優美さが満ち溢れた曲がたくさんある。


 Viosan の「ミネソタの遠い日々」
1970年に私たち夫婦・子供連れでミネソタ大学へ留学した記録のホームページにもどうぞ