ケーキとコーヒーで暖まった。ナッツ入りのケーキはこってりしているが、見かけよりも美味しい。ケーキというとイタリアやフランスを連想するが、本当はドイツ・オーストリア圏はケーキの美味しいところだ。
72年に入ったウイーンのお菓子店は、名前は忘れたが格式ある店で、白い壁にダークオークの調度品が印象的で、天井が高くて立派であった。チョコレートで包んだケーキの味は忘れられない。
東京に帰ってもオーストリア菓子の味が忘れられず、オーストリア・ドイツ・スイス菓子店があるとよく通ったものだ。今はないが、東京の渋谷の東急百貨店の前にあったドイツケーキの店にはよく通った。ドイツ菓子の特徴は生クリームを極力使わず、無縁バターのクリームで作るしっかりとしたケーキである。これらの菓子は、最近では流行らないが、本物の味のするケーキなのである。
戦前は菓子屋の倅だった私が言うのだから間違いない。子供の頃、父が工場で無塩バターのクリームを使ってケーキにデコレーションしていたのを思い出す。今のケーキはアメリカの影響か、まるで軟弱で、生クリームの固まりみたいな代物である。私の基準からするとケーキとは呼べない。
Viosan の「ミネソタの遠い日々」
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