シンプソン - 46 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

遠い夏に想いを-simpson  一度、ホテルに戻り、着替えをして、夜はシンプソンに行く。疲れていたので、タクシーを拾い、ストランド通りの店の前で降りる。ストランドとはテムズの河岸通りの意味で、その先にはセント・メアリー・ル・ストランド教会が見える。


 この店はローストビーフの専門料理店である。英国料理はローストビーフしかない。店の名は世界にとどろいているが、果たして1972年にチャールズのお父さんが作ってくれたローストビーフ(ここをクリック )よりも美味しいかどうかだ。チャールズのお父さんは鉄道列車のシェフをしていたそうで、その昔、私たちがバックハースト・ヒルのチャールズの家に泊まったときに、腕をふるって料理してくれたのがローストビーフだった。焼き具合といい、肉の舌触りといい、味といい、香ばしいソースの香りといい、もう舌がとろける思いがしたのを覚えていた。


遠い夏に想いを-dining room  予約はしてあったが、一元さんは1階の部屋には入れない。やはり通されたのは2階の部屋だ。天井が高く、家具や調度品は古ぼけているが、決して洒落た店ではない。客は7割の入りだ。


 ワインはローヌ地方の「シャトー・ヌフ・デュ・パープ」のハーフボトル。食事は普通のローストビーフ。ワインは美味しいが、出てきたローストビーフはパサパサして決して美味いとはいえない。シンプソンもこの程度だったのかと思うが、我々の舌が72年の時より肥えたのかも知れない。やはり、チャールズのお父さんに軍杯を上げてしまう。72年は貧乏旅行で、ろくなものを食べていなかったせいもあるが、もし、昔のチャールズのお父さんの味を知らなければ、シンプソンのローストビーフも結構美味しく感じたであろう。


 ミネソタの遠い日々
1970年に私たち夫婦・子供連れでミネソタ大学へ留学した記録のホームページにもどうぞ