ヘンリーでの遊覧船 - 039 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

遠い夏に想いを-テムズ眺望  川岸に沿って橋まで歩く。教会が見えてくる。まるでマーローの配置と同じだ。だが、教会の塔は形が違う。橋も教会もマーローの方がロマンティクだ。





遠い夏に想いを-tea terrace  だが、橋のそばの川岸にテラスがでており、お茶をとっている中年のご婦人方がちらほら見える。花が飾ってあって、シェードがあり、ご婦人方がにこやかに談笑している雰囲気が素晴らしい。



 橋の反対側の袂に、明るいレンガ造りのボートクラブ(下の絵)の艇庫がある。艇庫としては立派で洒落た建物である。

遠い夏に想いを-Rowingboatclub水彩
 「ボートの三人」にはヘンリーの記述が余りない。『ヘンリー村はボートレースをひかえて賑わっていた』としか書かれていない。小説が発表されたのが1889年だから、既にヘンリーではレガッタ・レースが開催されていた。


 橋に立ってみる。川はボート競技のために造られたかのような長方形に 見える。コースは1600メートルほどあり、1839年からレガッタが開催されている。毎年7月に開催される。1851年にヴィクトリア女王の旦那様のアルバート公が臨席され、「ロイヤル」レガッタになった。レガッタが開催されると、ボート競技だけでなく、華やかに着飾った美男美女の社交場と化するのは、アスコット競馬やウィンブルドン全英オープンでも同じだ。


遠い夏に想いを-boat houses  遊覧船乗場があり、行ってみると丁度船が出る時刻である。一時間ほど遊覧して戻ってくるらしい。乗ってみることにする。ハンプトン・コートからキングストンまでのボートと違って、今日はかなりの観光客が乗船している。船はレガッタ・コースに沿ってゆっくり進む。岸にはボートハウスが軒を連ねている。まさにボートの町である。日本の川ではみな渓流くだりを楽しむが、こうゆうのんびりとした船旅は外国で楽しむしかない。日本でなら湖で楽しむしかないのではないか。


遠い夏に想いを-島の水彩

 夏の川風を肌に受けてしばらく進むと、川の中央に中州のような島が見えてくる。Temple Islandという小さな小島(上の絵)だが、小さな祠のようなものが見える。1771年に作られたTempleだが、Henley Royal Regattaのスタート地点になるという。もともと釣り師の番屋として作られたものらしい。


遠い夏に想いを-タイトル画水彩
 テムズの流れは緩やかで、川を吹き抜ける風も心地よく、緑豊かな両岸の風景は美しい。次々と現れる岸辺の民家は着飾ったご婦人のようで、大変に魅力的である。(ヘッダの写真から書き起こした水彩)


遠い夏に想いを-ハンブルデン水彩

 更に、船はハンブルデン・ロック(上の絵)という下流の堰まで遊覧し、この辺からボートは180度回転してヘンリーに戻る。一時間ほどの遊覧船の乗船だが、のどかで、気持ちが爽やかになるひと時だった。


遠い夏に想いを-テムズ川面  駅まで戻って、トワイフォードで乗り換えて、帰路に着く。ジェローム・K・ジェロームの「ボートの三人」ではオックスフォードまでテムズを手ごきのボートで上って行くのだが、エンジン付きのボートでも時間がかかるので、オックスフォードへは改めてバスで行こうと思う。


 テムズ上流への日帰り旅行のしめくくりとしてイメージした色鉛筆画を掲載してこの項を終わりにしたい。

遠い夏に想いを-イメージ画鉛筆

 ミネソタの遠い日々

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