ヘンリー・オン・テムズ - 038 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

 マーローはまだ見足りないが、これから、ヘンリー・オン・テムズに行く。汽車で行くので、一旦、マーローの駅に戻ることにする。なにか団体旅行的でせわしない。


 マーローからヘンリーへは船でも行ける。距離は数キロしか離れていないのだが、曜日によって便数が少なく、この日は夕方まで待たねばならない。マーローの駅は赤レンガの平屋で、小さな無人駅である。少し遠回りだが、まずは汽車でメイドンヘッドに戻らなければならない。


遠い夏に想いを-twyford  メイドンヘッドから乗換駅のトワイフォードはすぐで、更に、ここで支線に乗り換えてヘンリー・オン・テムズまで行く。





遠い夏に想いを-henley station  ヘンリーの駅はマーロー駅よりは遥かに立派である。ヘンリーの駅を出てテムズまでは近そうだ。




 

遠い夏に想いを-imperial hotel   その途中に4階建ての木組みのインペリアル・ホテルがある。なにか古い町の雰囲気がする。リバーサイド通りに出るとテムズが現れ、橋が見えてくる。1786年にセント・メアリー教会と同時に作られた橋で、5つのアーチからなっているが、リッチモンドの橋のように優美ではない。むしろ無骨な橋という感じだ。ただ、凝った欄干と架橋は洒落たデザインになっている。


 
遠い夏に想いを-st.mary church  セント・メアリー教会にも入ってみた。マーローの教会のような優雅なたたずまいではないが、いかにも無骨な外観で内陣も余り飾り気のない教会だ。




遠い夏に想いを-river thames  ヘンリー・オン・テムズといえば1839年から毎年行われているヘンリー・ロイヤル・レガッタで有名だ。レガッタとはこぎ手が8人、コックスが1人で漕ぐ細長いボートだ。イギリスではオックスフォードとケンブリッジの対戦は有名だ。現在の正式な対戦場所はヘンリー・オン・テムズではないく、テムズの別の場所で、リッチモンドからロンドン寄りのハマースミス周辺で上流に向かって競うらしい。当初、オックスフォードがヘンリーを対戦場所に主張したが、ケンブリッジが反対したらしい。


 大学対校戦といえば、日本では早慶戦が有名だが、早慶戦には結婚前の思い出がある。妻のノッコは早稲田の仏文なのに早慶戦では慶応の応援席に陣取る。何故か解らない。早慶戦になると早稲田の大抵の学部は休講になった。教授も学生がクラスに出ないから諦めてしまう。ところがガンとして休講にしない教授がいた。仏文などは休講にしないだろうから、サボって観戦に出かけたらしい。もし、彼女が慶応に入学していたら、めぐり逢わないから結婚もしなかったであろうし、大学のオーケストラで私がヴァイオリンを弾いていなかったら、チェロを弾いていた彼女にもめぐり逢わなかっただろうから、互いに別々の人生を送っていたであろう。結婚は偶然が重なり合った巡り逢わせだと思うのだが。

あれ、あれ、話がとんでもない方にいってしまいましたね。


 デュフィーにヘンリー・レガッタの絵が数枚ある。橋の上からレガッタ競技を描いたもので、暗いが、派手な色彩とデュフィーの独特なタッチ。賑やかなヘンリー・オン・テムズの様子を描いている。


 ミネソタの遠い日々
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