スタンステッド・スカイトレイン - 023 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

 空港の喫茶店でチャールズとお茶を飲んでから、地下の鉄道駅に降りて行った。30分ごとに1本づつロンドンまで列車が走っている。切符を買った。チャールズが余り高いので驚いている。まあ、新しい線だから仕方ないだろう。列車が発つまで少し時間があるので、ホームでチャールズと別れた。


 もうチャールズとは会えないかもしれない。これからも、我々は多分ヨーロッパに来ることはあるだろうが、イギリスに来るかどうか判らない。チャールズの両親が亡くなり、チャールズ自身もバックハースト・ヒルからクレアに引っ越して、23年前のバックハースト・ヒルの記憶とのつながりはチャールズ自身しか無くなった。


遠い夏に想いを-charles  だが、暫らくしてチャールズはクレアの家を売り払って、バックハースト・ヒルに戻ってきた。昔の家よりも遠いらしいが、どんな家かは分らない。もう会えないだろうと思っていたチャールズが東京にやって来た。10日ぐらい東京に滞在して帰ったが、多分これが最後だと思う。この「遠い夏に想いを」を書き出したのも、彼が98年に東京を訪れたことがきっかけだった。メールでもう一度東京に来たいといっているが、多分無理だろう。1957年頃チャールズが日本にやって来て、10年以上東京に住んでいた。その間面白い逸話がたくさんあるけれど、それ以来50年以上の付き合いだ。(写真は我が家で談笑するチャールズ)


 時間が早いから、列車は空いていた。「スタンステッド・スカイトレイン」と呼ばれる空港快速線だから、途中停車する駅はビショップス・ストートフォードとトッテナム・ハーレーの2ヶ所だけ。終着駅はロンドンのリバプール・ストリート駅で、所用時間は41分であった。


遠い夏に想いを-station  リバプール・ストリート駅に降りたのは初めてだ。ここには地下鉄のセントラル・ラインも通っており、チャールズの家のあったバックハースト・ヒルへの行き帰りなどでよく通った駅である。ガラス天井になった明るく感じのよい古風な駅で、昔のヨーロッパにはよくある駅舎である。屋根の形状は違うが、オルセー駅に感じが似ている。今日は土曜日の昼下がりのせいか、利用客が構内に多く、かなり騒音が大きい。「ロンドンに来たな」という感慨がわいてくる。




 ホテルに行くには、セントラル・ラインに乗り換えてオックスフォード・サーカスで降りればよいのだが、今日は荷物がありので、リバプール・ストリート駅からタクシーで行くことにする。