タックステット教会 - 022 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

 サフォークからエセックスに下ってしばらく行く。タックスという2,500人ほどの町に入る。坂道をくだって行くと、右側に教会の塔が見えて来た。坂の途中で車を停めた。この町には広場はないが、この通りは急に道幅が広くなっている。


遠い夏に想いを-guildhall  町は11世紀のDomesday Book(ノルマン王朝の戸籍調べ)にも記録があるらしい。通りに面して、3階建ての面白い形をした家が建っている。チャールズによると、この建物は昔のギルド・ホールだという。丘の上の教会においてあるパンフレットによると、教会が完成するよりも前の1390年に刃物業を営む職人が共同でこの場所にギルド・ホールを建てたとある。


遠い夏に想いを-thaxted
 今度は細い坂道を歩いて登って行く。教会の塀づたいに頂上まで登ると教会の塔が現れた。(前回のページ-9/24の021-でこの場所をストーク・バイ・ネイランドの聖処女マリー教会と記しましたが、勘違いで誤記と分りましたので訂正させて頂きます)。


遠い夏に想いを-thaxted church  1340年に教会の建設が始まった。塔は56メートルあり、均整のとれた美しい教会である。エッセックスには聖堂がチェルムスフォードとブレントウッドの2箇所あるが、タックステット教会は教区教会ながらイギリス風の建物で、写真で見る限り、チェルムスフォードやブレントウッドの聖堂よりも美しく風格がある。堂内には北と南にチャペルがあり、聖堂とよぶに相応しいほど美しい。






遠い夏に想いを-houses & mill

遠い夏に想いを-windmill  さらに、教会を出て、お伽話の家のような建物の間の道を100メートルほど歩くと、見晴らしのいい丘の上に出る。風車が一基あって、風の唸りが凄い。これも古い風車で1804年に作られたものだが、復元されて使われている。周りには樹がなく、風が丘を吹き上げてくる。空は晴れてきて、日差しがだんだん強くなってくる。




遠い夏に想いを-score  この町には面白い記録がある。グスタフ・ホルストが町の南に家を借りて住んでいたという。彼と奥さんの住んでいた家はその後火災にあい、道路拡張工事で今はない。しかし、彼の有名な管絃楽曲の「惑星」がここで作曲された。7曲からなる「惑星」の4曲目が「木星」で映画やテレビによく使用される。「歓楽をもたらす者」という副題がついているが、アンダンテ・マエストーソの中間部は涙が出るほど美しく、壮大な曲なので皆さんもご存じのはず。彼はこの「惑星」ばかりが話題にされ、演奏されるのを快く思わなかったという。


 スタンステッド空港に着いた。スタンステッドは近代的な新しい空港である。ロンドンには西にヒースロー空港、南にガトウィック空港、それにロンドン・シティ空港や北のルートン空港などあるが、これでも足りないらしく、長い間空港新設については論議されて来た。スタンステッドに決まってからも、空港が稼動するまで長い時間がかかった。今のところ、欧州内の便に限られている。これらの空港につていはインターネットでも調べることが出来るが、スタンステッド空港で発着スケジュール表を見ると便数はまだ少ない。