クレアを発って - 021 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

 今日はロンドンに移動する。空は晴れているが、ところどころ薄雲がかかった空模様である。


 朝は犬を連れてチャールズと散歩に出る。朝の柔かい日差しを背に受けて、ビーグルを先頭にゆっくりと町を一周する。まず広場を横切って小路に入る。花を飾った作業場の横を抜け、「スワン」のパブのあるハイストリート通りに出て左に曲がる。広場とこのハイ・ストリート通りしか町らしいところがない。店屋は早朝でみな閉まっているが、ウインドーを覗いて歩くのが楽しい。田舎町の唯一の繁華街だ。こんな町では、交通機関が自家用車しかないから、ちっとした買い物はこの町でするしかない。だからだろうか、みな気のきいた店ばかりだ。ウインドーも色とりどりに小綺麗に飾っている。


遠い夏に想いを-stour river  そまま真っ直ぐストゥア川まで歩く。昨日と同じ散歩道になったが、このストゥア川は昨日訪れたフラットフォードを流れる川の上流になる。川面に朝日が反射してきらきらゆれる。川の土手づたいに、むかし汽車が通っていた頃に使われていた鉄橋の一部が残っている。








 家に戻り、急いで朝食を済ませた。身支度をして、チャールズのワーゲンに乗った。チャールズにスタンステッド空港まで送ってもらう。空港までは大して遠くない。車は緑が豊かな田舎の通りを走る。犬を連れて朝の散歩を楽しんでいる家族がいたり、通りの両側には古い趣のある家が点在し、中には16世紀のチューダー様式の木組みの家なども残っている。


遠い夏に想いを-trees
 空港に行く途中に、テックステットという場所があって、丘の上に教会がある。
「ここへ寄っていくけど、いいかい」
チャールズが訊く。もうロンドンへ行くだけだから、時間は心配していないので、一緒に行くことにした。この頃には空が晴れ上がって、とても気持ちのよい朝になっていた。


 ミネソタの遠い日々 - New (「別れ」を掲載) -

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