木組みの町ラヴェナム - 018 | 遠い夏に想いを

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アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

遠い夏に想いを-map03  ここから、東に車を走らせて今日の目的地の一つであるラヴェナムに向かう。レーヴンハムと書くのだが、イギリスではラヴェナムという。英国の地名を発音するのははなかなか難しい。英語では、綴り通りに読まない地名が多い。最後についている「…ハム」とついているのは「村」を意味するゲールの言葉だ。だから、古い意味では「ラヴェン村」となる。この他、「…フォード」「…フィールド」「…ウィッチ」「…トン」「…ワース」などと地名に語尾のつくものがあり、これらの接尾語の意味を知っていると面白いし、役に立つと思う。


 ラヴェナムはイーストアングリアでも有名な観光地の一つだ。木組みのチューダー様式の民家がたくさんある。みな15世紀から16世紀のものだ。16世ユグノー戦争や宗教戦争を逃れてフランドル地方からやって来た人達がイーストアングリアに住み着いた。大半が羊毛職人か機織り職人で、ここから南に60キロほど離れたコーチェスターで安価な織物製品をつくり始めた。ラヴェナムやロング・メルフォードには大打撃だった。当時の村の人口は2千人以下だったろう。しかしそれまで、ラヴェナムは大変な繁栄を謳歌していた。それがそのまま時間の中に封じ込められ、忘れられたために、現在、その姿を今にとどめている。


遠い夏に想いを-st.peter church  高台にセント・ピーター・セント・ポール教会がる。クレアにある同名の教会よりも外観は立派である。






遠い夏に想いを-church street
 教会とは反対側の村の駐車場に車を止めて、チャーチ・ストリートを歩いた。チャーチ・ストリートは丘の上からカーブを描いて緩やかに下っている。300メートルほどの民家が軒を連ねている。数百年は経過しているから、家が少し歪んでいる。2階部分が道路側に一段迫り出した典型的なチューダー様式の家だ。家々の窓や玄関にはペチュニアの赤い花を飾っている。


遠い夏に想いを-great house  しばらく歩いて左折し、レディース・ストリートを更に下って行くと、マーケット・プレースに出る。カヴェンディシュのフアイヴ・ベルが閉まっていたので、お腹が空いていた。ラヴェナムで ”The Great House Restaurant"という、外観はジョージア王朝風の田舎にしては立派なレストランに入った。我々は普段着で来ているので、入るのを一瞬躊躇したが、中には"Patio"(中庭)があり、そこで昼食をとった。暑い夏とはいえ、青い空とそよ風の中での昼食は素晴らしかった。フランス料理のランチメニューでイギリスとしては大変に美味しい。このレストランは毎年英国のレストラン賞を獲得していて、ホテルも併設しているので泊まってみるのも楽しいかもしれない。


遠い夏に想いを-scene01  食後、町をぶらぶら散歩する。この道路と、その左右に建つ木組みの家々がこの町の観光名所になっている。安野光雅氏の水彩画でラヴェナムの風景画をご覧になった人も多いと思います。かって、NHKで水彩画を描くという教育番組を放送していたので記憶にあるかもしれません。

 
遠い夏に想いを-scene02

  







遠い夏に想いを-info.center  一軒の家に入った。当時、ここはギルドホールだったが、修復に修復を重ねて、いまだに完成していない。2階が資料館になっている。中庭は雑然としているが、いかにも英国という感じがする。チャールズがラヴェナムの歴史やこのギルドホールの説明をしてくれる。初めての所では有難い。


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