クレア、町歩きⅡ - 015 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

遠い夏に想いを-hi street

 朝の散歩の帰りは、角の骨董店 "Agnus Antiques" まで引き返し、そのまま真っ直ぐハイストリートを進み、左側の店舗を覗きながら歩く。アメリカのどんな田舎町でも中心街はメインストリートだが、イギリスではハイストリートと呼ぶようだ。早朝なので、ほとんど閉まっているが、イギリスの田舎の店舗にもみなショーウインドーがあり、こまめに品物を展示しているので、見ているだけで結構楽しい。大きくて立派な「スワン」というパブもある。「スワン」は英国の多くのパブに付けられているポピュラー名前である。


 毎年テムズ川の女王の白鳥を調査する。日本では白鳥は冬にシベリヤからやってくる。一年中白鳥がいるのは驚きである。白鳥は支配者の所有物であったし、女王の白鳥の数を調べるは長年の伝統行事らしい。


遠い夏に想いを-school  赤レンガつくりの古い小学校の校舎がある。現在は使われていないようだが、何か歴史的価値があるのかも知れない。






遠い夏に想いを-church

 暫く歩くと、右側にこの町にしては大きな教会がある。セント・ピーター・セントポール教会というレンガ造りでしっかりした教会だ。15世紀の建造だが、鐘楼はノルマンの時代からのものらしい。早朝だからだろうか、教会には人の立ち入る気配がなく、何か物寂しい感じがする。


遠い夏に想いを-墓  教会の周囲は墓地になっており、墓碑が傾いて立っている。結構古い墓なのかもしれない。






 
遠い夏に想いを-antiques  教会をぐるっと回って、チャールズの家の手前、広場の角にある立派な骨董店に出る。こんな小さな村のような町に骨董屋が3軒もある。












遠い夏に想いを-bell hotel  チャールズの家の並びに「ベル」ホテルというハーフ・ティンバー(木組み)の建物がある。16世紀からある洒落た建物なのだが、夜になるとバイクに乗った若者がホテルのレストランに集まる。昨夜も夜遅くまで大きな声で騒いでいた。こんな田舎では遊ぶところが無いとはいえ、夏の夜には少々迷惑気味で困ったものだ。





 遠い夏に想いを-広場
 広場には戦勝記念碑とでも呼ぶべき記念塔が立っている。この手の記念碑はどこの町にも必ず存在する。町からの出征者、戦死者などを記念して名前が刻んである。




 家に戻ると、チャールズが歯を磨いている。昔からこの男、歯磨きの後は水で口をゆすがず、泡だらけの歯磨き粉を飲み込んでしまう。そういえば、ミネソタ大学に居た時、近くにニュージーランドから来ていたロッドの奥さんのジョンが4歳の娘のジルの髪を台所のシンクで洗っていたのを思い出した。日本人のように風呂に一緒にはいる習慣はない。泡だらけの頭を碌にすすがず、泡だらけの頭をタオルで拭いていた。日本人は潔癖症なのか、敏感すぎるのか、我々の習慣と違うので戸惑ってしまう。ただ、そうゆう一例でそこの国の習慣と決めてしまう危険はあるかも知れないが。


 我々が歯を磨き、顔を洗っている間に、チャールズは朝食の用意をしている。私は向かいのコンビニに行き、ガス入りの水を買ってきた。とても柔らかくて美味しいガス入りの水で皆で飲み干した。今朝も朝日を浴びて簡単な朝食をとりながら、今日の行き先を話し合った。


 ミネソタの遠い日々 - New (「別れ」を掲載) -
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