心地よい朝 - 005 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

 今日も晴天で暑くなりそう。1階に降りると、チャールズも犬もいない。多分散歩にいったのだろう。玄関の鍵はかかっていない。こんな田舎では泥棒も入らないに違いない。たとえ、泥棒が入っても、盗むものは何もないから安心していられるのだろう。


遠い夏に想いを-bh庭  裏庭にでてみる。前に住んでいたバックハースト・ヒルの家の庭ほど広くない(右写真:前に住んでいた家の庭)。イギリスの家らしく、表から裏に向かって細長い敷地である。金持ちの広大な敷地は別にして、どこの家もこの形状である。バーミンガムにある友達のブライアンとジルの家も、テラスハウスというか長屋だが、同じように、奥に細長い庭があった。イギリスの庶民の家がこのような形をしているのには何か訳があるに違いない。例えば、その昔、家の間口の広さに応じて税金を取られたとか。窓の数に応じて税金を課した国だから、ありそうなことだ。日本でも京都や地方の旧家などの古い家に間口が狭い家がある。


 アメリカのように家の前に庭があるか、イギリスのように後ろに庭があるかの違いはあるが、庭は居住面積として必要なのだと思う。日本のように庭が全然無いというのでは、人間の居住スペースに対する感覚が失われる。アパートのテラスとか一軒家でも猫の額みたいな土地で、「園芸」でなく「ガーデニング」だなんて、大層なことをしているように思っている。少し立派なアパートをマンションと呼ぶようなものだ。何でも横文字にしてしまうと意味が転化して、何か違うことをしていると錯覚してしまう。余りにも横文字のカタカナ語で溢れているし、それに惑わされている。


遠い夏に想いを-裏庭  チャールズの家には小さいが約50坪ほどの庭がある。50坪あれば、結構色々なことが出来るのだが、チャールズには庭いじりの趣味はないようだ。少し乱雑だが、赤や黄色の花が咲いている。


 チャールズが家に戻って来た。急いで朝食を用意する。犬に朝食の餌をやり、猫にも餌をやるが、猫は庭に出てむしゃむしゃやっている。庭に出ると、夏の太陽が眩しくて、一瞬目を細めてしまう。ビーグルが出てきて、ノッコにじゃれつく。花々も結構綺麗に咲いている。


遠い夏に想いを-朝食  庭に面した食堂は朝日がさんさんと差し込み、窓を開けると爽やかな風が吹き込んでくる。パンとハムエッグとミルクティー。
「何て心地よい朝食なのかしら」
ノッコが紅茶を注ぐ。
こんなに簡単な朝食でも、ホテルのレストランで食べるよりも爽やかで楽しい。





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