シエナの一日 - 085 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

 前回の90年にフィレンツェを訪問した際に、日帰りでいったシエナの旅について書こうと思う。旅に発つ前に、勤めていた会社のイタリア人の役員にフィレンツェからの日帰りならどこがお勧めか尋ねた。
「そうだね、ボローニャは一日で廻るのは無理だろう。ピサやサン・ジミニャーノも面白いだろうが、やはり、シエナだろうね。歴史的にも観光的にもいい所だからね」


 ロンドンのホテルで会ったトスカナのから団体客のお勧めもあり、シエナに行くことに決めた。乗り物はフィレンツェの空港バスの運転手に聞いていた通り、駅のバス乗り場から、シエナ行きの急行バスに乗った。


 車窓からトスカナ地方の田園風景を楽しみながら南下する。約1時間半で街の入り口に着いた。トスカナ地方でもシエナ県はいわづと知れたトスカナ・ワインの産地。イタリアを代表するワインとしてブルネルロ・ディ・モンタルチーノが産する。フランスのボルドーのグラン・クリュよりも安いからお勧めかもしれない。イタリア・ワインならピエモンテのものが美味いといわれる方もいると思うけれど(私もピエモンテのネビオーロ種の赤ワインが大好き)。


遠い夏に想いを-立像  街はさして大きくない。街は城壁に囲まれている。バスはマッテオッティ広場で停まり、ここで降りて、バンッキ・ディ・ソプラ通りをコムーネまで歩く。途中、サリンベーニ広場という小さな広場に17世紀に市民図書館を設立したバンディーニという人物の像が立っている。








遠い夏に想いを-ナンニーニ  更に、この道を進むと、有名なナンニーニの菓子店がある。ナンニーニ姉弟が有名だ。姉のジャンナは有名なロック歌手で、弟のアレッサンドロは素晴らしいF1レーサーだった。彼はレーサー現役の頃、ヘリコプターの事故で選手生命を奪われた。ここの店の名物菓子は砂糖でコーティングしたアーモンドの粒で、口に入れると、得もいわれね美味しさで、頬っぺたが落ちそうになると表現したくなるほどだ。通りには中年の男たちが数人立ち話を盛んにやっている。あっちにも、こっちにもいるのだ。何か日本の下町で縁台に座っておじさん達が世間話をしている情景を思い出す。


遠い夏に想いを-シエナ塔  カンポと呼ばれる広場に入ると、そこは広大な闘牛場のような、古代ギリシャの屋外劇場のような広場だ。正面に14世紀に建てられたゴッシク様式のプブリコ宮が見え、102メートルの高さを誇るマンジャの塔が聳える。









遠い夏に想いを-広場  ここの広場に座り込んでナンニーニのお菓子をボリボリと食べながら周囲を見渡す。このカンポの周囲に砂をまいて、パリオという裸馬の競馬が開催される。テレビでしか見たことはないが、こんな狭いところで行われるとは想像するだけで空恐ろしい。広場の片隅に泉がある。これはレプリカらしいのだが、ローマのトレヴィの泉に比べると余りに品祖である。


遠い夏に想いを-大聖堂01  カンポ広場を抜けて、ペレグリーニ通りを進み、ドゥオーモに出る。ここの大聖堂はまさに圧巻で、白と緑の大理石を使って何かオリエント風に13世紀に造られたロマネスク・ゴシック様式の建物である。身廊の列柱も何かエジプトを思わせるような縞々模様である。豪華絢爛と言うに相応しいカテドラルである。


遠い夏に想いを-大聖堂02  プブリコ宮にしろカテドラルにしろ見る所がまだまだあるが、日帰りで見学するには余りにも時間が足りない。4時頃のバスでフィレンツェに戻ることにした。


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