Che Bello! - 050 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

 どうしてイタリアへ来ると、おばあさんに縁があるのだろうか。不思議と記憶にあるのはおばあさん達だ。


 72年の時も、ヴェネツィアでのお昼だった。リアルト橋の袂のカフェの店先で軽食を取っていたら、今はすっかり見かけなくなった裾の長い黒い服を着たおばあさんがチャオを指して訊く。
「おまえの子か」
「そうですよ」
突然、おばあさんは両腕を大きく広げて屈んだと思ったら、チャオを抱きしめて「Che bello! che bello!」と叫び頬ずりした。チャオは7歳だったが、既に外国人には慣れっこになっていたし、誰にでも物怖じしない子だったから、じっと抱かれたままニコニコしている。


 アメリカでも、イギリスでも、一緒に話しをしていると、みな一様に「How intelligent!」と言われたものだ。だからこのイタリアのおばあさんもチャオの賢そうな様子に、突然、チャオを抱きしめて叫んだに違いない。
「何て可愛いのかね」

突然のことで、我々も驚いたが、「有難うございます」と言って別れたのを思い出す。


 小さな子供をつれてヨーロッパの国々を旅したので、人々の子供に対する感情の持ち方やあらわし方が国によって、どうしてこんなにも違うのだろうかと思った。前にも書いたが、フランスが最も子供に辛く当たる。ドイツやイタリアやイギリスやギリシャは子供に優しい。これは国民性だから仕方がないといえば、仕方がないのかも知れないのだが。

 ミネソタの遠い日々 - New (シカゴへの旅を追加) -
1970年に私たち夫婦・子供連れでミネソタ大学へ留学した記録のホームページにもどうぞ