パドヴァ - 046 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

今日はパドヴァへ行く。ヴェネツィアを発つ前に、朝食をとりにホテルの近くのカフェに入る。客が3~4人も入れば満員になってしまいそうな狭い店で、開店の準備をしていた。客のいない店の窓辺から時たま人が通る狭い路地を眺めながら、クロワッサンとカプチーノの朝食だ。ホテルに戻り、荷支度してホテルをチェックアウト。


遠い夏に想いを-船着場  早朝なので乗船場の切符売り場はまだ閉まっている。船の中で切符を買い、サンタ・ルチア駅まで船で行く。汽車は干潟を通過して,ヴェネツィアから遠ざかって行く。海の中を汽車が進んでいるような錯覚を覚える。パドヴァはヴェネツィアから近い。


 72年の時は飛行機でミラノからヴェネツィアのマルコポーロ空港に着いて、水上バスで夜9時半頃サン・マルコ広場に着いた。帰りはサン・マルコから水上バスでリドを廻って、ムラーノのそばを通り、静かな朝靄が立ち込める海を空港に向かった。


 あの時は、フィレンツェに向けて飛行機で行った。高翼の双発機で、低空で飛ぶので眼下を走る車の様子が手に取るように見える。私達の後の席に母親に抱かれて1才半位の女の子が座っていた。可愛らしい女の子なのだが、どこか機嫌が悪くて火の着いたように泣く。


 チャオはミネソタから持ってきた黄色いぬいぐるみのねずみのミミチャンを自分の小さなバッグから取り出し、座席の隙間から後ろの火のついた様に泣いている女の子に「チュウ、チュウ、バー」とやっている。女の子は暫く泣き止み、目をくりくりさせるのだが、止めるとまた泣き出してしまう。フィレンツェにつくまでチャオは女の子を黙らせようとして手を変え品を変えて繰り返す。母親も辛抱強く泣く子をだましている。小柄で忍耐強い女性で、ヴェネツィアで看護婦をしているとか、フィレンツェの実家に戻る所だと言っていた。

 ミネソタの遠い日々 - New (シカゴへの旅を追加) -
1970年に私たち夫婦・子供連れでミネソタ大学へ留学した記録のホームページにもどうぞ