アイスコーヒー、日伊の違い - 033 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

遠い夏に想いを-サン・ヴィダル  サント・ステファノ広場を歩いていると、ヴァイオリンの音が聞こえてくる。ヴェネツィアは歩くだけの街だから、くたびれてきた時に突然ヴァイオリンの音が聞こえてくると、心が休まり疲れもとれる。なかなか上手いが、プロというほどでもない。音楽学校の学生だろうか。旅の途中で窓辺からもれるヴァイオリンの音を聞くと何かほっとする感じだ。


 細長い広場の中央に19世紀の詩人・辞書編纂者ニコロ・トマセオの立派な像がたっている。イタリア人には大切な人かも知れないが、我々には殆ど知られていない人だ。この広場はかなり広くて眺めもいい。アカデミア橋から広場に入ってすぐ左にサン・ヴィダル教会(上の写真)、奥にサント・ステファノ教会(下の写真の右側)がある。この近くに有名なオペラの殿堂ともいえるフェニーチェ劇場がある。だが、残念ながら、前の年の1996年に火事で焼失してしまった。当時の噂ではマフィアの仕業ではないかと取りざたされていた。実際は電気工事業者の放火と判明したのだが。劇場が焼けてしまったので、行くのを諦めた。


遠い夏に想いを-サント・ステファノ  サント・ステファノ広場のカッフェで昼食をとる。窓側のテーブルに座ってツナや卵のサンドイッチを食べる。暑いので私は余り飲めないビールを小さなグラスで、ノッコは細長いグラスに入ったアイスコーヒーを注文した。氷が7割、コーヒー(又は他の飲み物でも)が3割の日本と違って、氷が5分、コーヒーが9割5分のイタリア式アイスコーヒーは冷えていないし、甘ったるくて美味しくないとノッコはいう。


 後で知った事だが、これは日本式のアイスコーヒーとは作り方が違う。日本では氷の上にコーヒーを注ぎ、好みでシロップやクリームを入れる。イタリアのアイスコーヒーは、まずエスプレッソに甘味料を入れ、冷蔵庫で凍らせ保存する。これを必要な分だけ取り出してフラッペし、背の高いグラスにいれて出す。だから、最初からたっぷりの甘さがついている。氷にも味がついているし、フラッペにするので氷がどんどん解けてゆ。味は薄まらないのだが、ぬるくなるだけで冷たくない。夏の暑い日には冷たいものが欲しいのに。