中世の衣装で - 031 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

遠い夏に想いを-サルーテ教会  アカデミア美術館を後回しにして、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会に行く。大運河沿いに歩く。曲がり角一つ間違えても、とんでもない所へ出てしまうので、大運河の水面を建物の合間に確認しながら進む。


遠い夏に想いを-撮影中  サルーテ教会の先で映画の撮影をしている。ルネッサンス風の衣装をつけた女性がゴンドラに乗って、ゴンドリエも当時の衣装で櫓を漕いでいる。これを何度も繰り返す。周りには撮影機材が所狭しと散在している。その割には撮影スタッフの人数が少ない。CM作りなのかもしれない。


 いつまで見ていても仕方が無いので、サルーテ教会に戻る。この教会はカナル・グランデの出口の狭い三角地帯に建っており、ヴェネツィアで最も写真写りの良い建物になっている。建物は八角形でその上に丸いドームがのっている。この教会は外観的にかなり目立つ存在だ。しかし、相変わらずここを訪れる人は少ない。17世紀にペストがおさまって、その感謝の印として建てられたものらしい。完成したのは17世紀後半だ。


 ヨーロッパのぺストは5世紀頃に発生し、暫らく鳴りをひそめていたが、14世紀には爆発的に広まった。人口の半分近くが死亡したと伝えられている。17世紀になって、再びヨーロッパにペストが猛威をふるいだし、人口が激減した。ヴェネツィアでも人口の30%以上が死んだそうだ。ヨーロッパ各国の人口が比較的に少ないのはペストの影響だと思う。フランス、イギリス、イタリア、ドイツなどの面積は日本と余り変わらないが、人口は日本の半分位しかないからだ。


遠い夏に想いを-チャオ  外観とは打って変わって、教会の中は飾り気が余り無くガラーンとして、いかにも明るい丸いドームが広がる。ここでヴァイオリンを鳴らしたら、もの凄くいい音がするだろうな・・・と見上げてしまう。


 その昔、チャオとノッコの3人で訪れた時のことを思いだした。あの時も道を間違え間違え、やっとの思いでたどり着いた記憶がよみがえってくる。やはり訪れる人も殆どいなかった。たしか、この裏の場所でサン・ジョルジョ島を背にして元気なチャオの写真を撮った記憶があった。