サン・ロッコ - 030 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

遠い夏に想いを-サン・ロッコ  サン・パンタロンから北へ少し歩くと、サン・ロッコ教会とサン・ロッコ・フラーり教会がある。サン・ロッコ・フラーり教会の2階への階段を登ると、突然、目の前に、一連の大作が現れる。ここはティントレットの宝庫なのである。ティントレットはどちらかというと余り好きな画家ではない。余りにもキリスト教の主題が多く、おまけに、画風が暗く荒々しい。動的な宗教画なのだが、主題と暗さが私の趣味に合わない。(写真の中央はサン・ロッコ、左がフェラーリ教会)


 ここでは、天井にも絵がはめてあり、見上げていると首が痛くなるので鏡が置いてある。
「ほら、こんなにはっきり見えるわよ」
ノッコが鏡を覗き込んでいる。私もやってみたが、なるほど直接見るより鏡の方が鮮やかに写る。ここを出て、通りの反対側にあるサン・ロッコ教会にも入ってみる。


遠い夏に想いを-フェラーリ教会  この直ぐ近くに、サンタ・マリア・グロリオーザ・デイ・フラーリ聖堂がある。大きな聖堂で鐘楼はヴェネツィアの多くの場所からも見える。ここの鐘楼はヴェネツィアで2番目に高いそうだ。ここに寄ってみる。堂内に入ると正面にティツィアーノの「聖母被昇天」が祭壇を飾ってある。かなり大きな祭壇画だ。聖母被昇天はよくカトリック絵画の題材になるが、やはりパルマのドゥオーモのドームに描かれたコレッジオのものが最高に素晴らしい。


 8月15日はフランスとかイタリアなどのカトリックの国では祝日になる。フラーリ聖堂は明るい内部で、ヴェネツィアの多くの有名人が眠っている。ティツィアーノの墓やイタリア音楽の父である17世紀のモンテヴェルディもここに眠っている。サン・パンタロン教会を見た後なので、何か気持ちが安らぐ。カトリックの絵画にはこれでもかと迫ってくるグロテスクなものが多い。

 ミネソタの遠い日々 - New -
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