ヴェネツィアのホテル - 024 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

 何せ、あの時は日本を離れて2年は経っていた。札幌のオリンピックもミネソタのオンボロ白黒テレビで見た。何となく日本の事情にも疎なっていた頃だったから、チャオとノッコの3人で目をこすりこすり、家族がたむろする部屋でホテルの従業員と一緒に女子バレーを見ていた。


 それが「セレナ・・・ホテル」だった。突当たりが、今回宿泊予定のホテル・ボンヴェッキアーティで、その左側の小路を覗いたら、偶然、20メートルほど先の左側に、懐かしの『セレニッシマ・ホテル』はあった。


遠い夏に想いを-ボンベッキアーテ  ボンヴェッキアーティはセレニッシマよりは遥かに立派だ。入り口のロビーも広い。ボンヴェッキアーティのレセプションにはメガネをかけた背の高い中年の男がいて、カタコトの日本語がうまい。多分、日本の団体客が多いのだろう。


 使用人が部屋まで案内してくれる。なんとエレベータで最上階へ行って、更に階段を上る。日本の旅館にもこんな造りあったっけ。まさに屋根裏部屋だ。西日がもろにあたってものすごく暑い。クーラーは付いていても全然効かない。日が暮れるまでは雨戸を閉めておく。風呂場はもっと暑い。窓の外は眺めがよくないが、屋根伝いに遠くまでヴェネツィアの街が望める。


 最初、東京で予約したのがメトロポールだった。サン・マルコ寺院の東側にある5つ星の高級ホテルだ。宿泊代は一番安い部屋で48万リラ。3万4千円もする。相変わらず貧乏旅行が身にしみている。海外でこんなに払った事はないので、キャンセルしボンヴェッキアーティに変えた。それでも、このホテルは今回のイタリア旅行中で一番高い。おまけにこのくそ暑い屋根裏部屋だ。一番安い部屋だったからだろうか。


 ホテルに関しては、ヴェネツィアは最悪の状態だ。土地が限られているし、新規にホテルを建てるわけにもいかず、規制があるから仕方がないのだろう。それでも観光客は増える一方なのだから。