トラットリア - 015 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

 1時間10分でクレモナに着いた。駅を出て左手に真っ直ぐ中心街に延びる道がある。


遠い夏に想いを-ストラッド  しばらく行くと左側にストラディヴァリ博物館がある。一見倉庫か工場風の建物で、門扉には3時30分から再開となっている。帰りに寄ることにして更に歩く。



 やがて、商店街に出る。端正な街並みだ。クレモナの街自体は小さいのに大変奇麗だ。もう『クレモナ』も名前だけで、実質的には廃れてしまって、町は寂れているかと思ったのだが、大変洒落た街並みで驚かされる。今日は日曜なので、街には私達以外、時折思い出したように自転車に乗った中年男とか少年が通り過ぎるくらいで人影が見当たらない。みんな昼寝の最中なのかな。街は静まりかえり、店はレストランも本屋も化粧品店もみな閉まっている。


遠い夏に想いを-トラッタリア  レストランはたった一軒だけ開いていた。駅のカフェテリアに戻る以外、昼食はとれないのだから、このトラットリアに入るしかない。小さな店だが、うなぎの寝床みたいに奥行きがある店内には新しい椅子やテーブル、更に壁や天井は少々派手に装飾がほどこされ、ピカピカに磨かれていて、なかなか小ぎれいだ。食堂は家族経営で、とうちゃん、かーちゃん、ねーちゃん達が総出だ。


 ニンニクとオリーブオイルでカリッと焼いて、バジルとトマトをのせたカナッペ。余りに量が多いので突き出しとは思えないほどだ。メロンとプロシュット、大ボリュームのサラダミスト、スパゲッティーはノッコがトマト・ソース、私は貝や海老などがいっぱいのペスカートレ。新鮮な魚介類でパスタが隠れてしまうほど。ものすごく美味しい。クレモナのこんなトラットリアでこんなすばらしい料理を出すなんて期待もしていなかった。日曜日の昼とあって、老年の夫婦と、若い2人の男性の2組だけ。充分イタリアを堪能させてくれる。

 ミネソタの遠い日々 - New -
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