パリの娘は素敵ですか - 082 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

 これほど奇麗な街並みがあって、川もセーヌだから、このアレクサンドル3世橋もパリに似合うので、東京の隅田川に架けたらチンドン屋橋になってしまう。橋というより、芸術的構築物なのだから。


 例えば、『パリの女の子は着こなしがいいね。個性的で、高級ブランドなど身に着けなくともシックだよ』と、モノ知り顔でウンチクを傾ける者がいる。それはそれで正しいのだが、これには重要な要素が欠けている。それは街が美しいということだ。単に美しいというだけでなく、街が彼女達の洋服に合っていなければならない。だから、フランスの女性服(ドレスというよりは服全般)はロンドンより、ローマより、ニューヨークより、パリが似合う。これはフランス語特有の弾けるような発音と女性の身振りも大きな要因だろう。


 それに比べて、ロンドンは不思議な街で、落ち着いた感じと思いきや、マリー・クワントのミニスカートやツィギーといったファッションが現れ、世界に、特に日本に与えた影響は計り知れない。ミラノのモードはイタリアの明るさと彩り鮮やかな色彩が素晴らしい。


 和服のお嬢さんはシャンゼリゼを歩くより、東京の銀座通りを歩くより、京都の寺社内の庭園を歩いた方が美しい。これは何百年もかけて築き上げた伝統と様式美だから、一朝一夕に真似はできない。かって京都の古い寺のお庭で見かけた着物姿の女性の美しさと艶やかさに、はっと、心がときめいたのを今でも憶えている。


遠い夏に想いを-オルセー01  話がとんでもない方向へいってしまった。この辺りは、1900年のパリ万博の遺物ばかりだ。プチパレ、グランパレ、アレクサンドル3世橋、オルセー駅。プチパレは美術館として使われている。グランパレはイギリスの1851年の万博で建てられたクリスタル・パレスのように鉄骨とガラスで造られており、現在はイベントなどに使われている。


 橋を渡って、今度はセーヌの左岸沿いに歩く。歩いて回れる大都会なんて日本にはどこにもない。京都はパリより人口規模では小さいが、歩いて回れるところは東京よりは多い。学生時代、時間が有れば、奈良や京都をよく訪れたものだが、生まれも育ちも場所が違うので少々自信はない。


遠い夏に想いを-セーヌ川  ヨーロッパの街は石造りだから、古くても素晴らしい建物が非常に多い。歴史を感じるからだ。日本では名所・旧跡を点で結んで移動しなければならないから、その間は全く見るべきものが存在しない。古くて美しい町並みが延々と続いたら、何も特別なものがなくともそこを歩くだけで楽しい。日本の街はゴミがなくて綺麗だと日本を訪れる欧米人は言うが、電信柱と電線が街を覆っているようでは、どんなに町並みを綺麗にしても台無しだ。

 ミネソタの遠い日々 - New -
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