タルティーニ教授は言う。
「あいつら(イスラム諸国やエチピア)は、昔からけしからんのだ」
話はどんどんエスカレートする。
「リビアのカダフィの奴めが、イタリアの植民地だった頃に、リビアの為に色々とやってやった恩義も忘れて、イタリアに盾突くとは言語道断、不貞のやからだ」
ローマとカルタゴのポエニ戦争以来の歴史を引き摺っているとしか言いようがない。日本と韓国・中国の関係で日本の知識人がここまで吐き捨てるように言えるだろうか。イタリアも日本、ドイツと共に第二次世界大戦で共に戦い、そして負けた国だ。
「イラクのフセインなんぞに好き勝手はさせん。アメリカは直ぐに出兵して叩き潰せばいいのだ」
ここに至って、私は拍手喝采したくなった。彼の意見に賛同するからではない。ここまで本音で言い切った大学教授に初めて会ったからだ。
90年にブッシュ(父親)が派兵を検討していた頃だ。
次は、ジョン。話がどんどん展開して、日本やドイツのこの状況に対する貢献度の問題になった。遂にファールボールがグラウンドを飛びこえて、内野スタンドに飛び込んで来た。
「日本人は何を考えているのかさっぱり分からない。特に、日本の政治家はひどい」
「そうだな、それは私も素直に認めるよ。ただ、お前さんの国の政治家のように、直ぐ他国に押し入って戦争はしないがね。アメリカ市民の反戦運動は半端じゃない。アメリカ政府に嫌気が差しても、我々はアメリカの制度と国民には好意を抱かざるをえないよ」
「世界の秩序と平和を守るためだ」
ジョンが叫ぶ。
「それは違う。アメリカのエスタブリッシュメントの利益を守るためだ。もし、アメリカが本音を言ったら、尊敬するがね。フセインの独裁でイラクの貧しい国民が犠牲になり、可愛そうだとアメリカ人は言う。戦争になればヴェトナムのように罪のない多くのイラクの国民が犠牲になるだろう。それに、大儀なき戦争に追い立てられて命を落とすアメリカの若者も同じく哀れだ」
こうゆう話になると、誰もが一歩も引かなくなってしまう。でも、欧米人と話していて何がいいかというと、直接利害が絡まなければ、議論と喧嘩は別物だというこただ。日本でなら、各人の意見をストレートにぶつけ合ったら、すぐに喧嘩になること必定であろう。