ミネソタの記憶 - 074 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

遠い夏に想いを-lance01  城壁に沿って進んだ。町の東端に出ると、突然視界が開け、80メートルほど真下にランス川が銀色に輝き流れている。素晴らしい眺めだ。晴天の日には、城の上からサン・マロまで見通せるそうだ。今日は太陽も時には顔を出すが、朝から空一面に雲が低く垂れ込めているので遠くまで見渡せない。


遠い夏に想いを-lance02  町をほぼ半周して、来た道を下り、城門を出て、ランス川を渡る。もう、5時近い。急いで車まで引き返す。帰りは何処にも寄らずに一気にレンヌを目指す。


 夕食の準備でマリは忙しい。台所に引きこもったきり出てこない。日が暮れた頃、シャンタルが帰ってきた。ボーイ・フレンドのジョンが一緒だ。2人でサン・マロへ行ってきたとのことだった。すっかり女性になっていた。それもなかなか素敵な女性になった。何年振りだろうか。1972年の6月にミネソタで別れたてから18年経った。お茶目なシャンタルは4才だったろうか。今でも小さな赤い水着を着たシャンタルがミシシッピー河の岸辺でチャオと砂遊びをしている写真が残っている。
遠い夏に想いを-chantal 「シャンタル、覚えている?」
彼女は写真を見て、恥ずかしそうに笑った。
「ワー、こんなだったの?」

 多分、彼女は我々のことを覚えていないだろう。4才くらいの時の記憶は成人すれば消え失せる。でもシャンタルは我々がフィリップの友達とゆうことで、話しを合わせてくれている。


 タルティーニ夫妻もやって来た。イタリアはシエナ大学の教授で、夏休みを過ごすために一家でレンヌにやって来た。フィリップの隣家は家族がヴァカンスで家を留守にするので、信頼の置ける人に短期間貸して出かけたのだそうだ。


 食堂にある楕円形の大きな食卓に料理が準備されて、一同が席に着く。フィリップとモニック、シャンタルとジョン、タルティーニ夫妻、そして私達夫婦。