汽車の旅 - 063 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

遠い夏に想いを-ルート03  ルマンを過ぎた頃から、上空には灰色の雲が低く垂れ込めて、雨模様になってきた。激しい雨ではないが、大きな水滴が時折列車の窓を斜めに走る。まだブルターニュ地方に入っていないのに、荒涼とした景色が続く。フランスもイギリスと同じく春からの雨不足で緑がまるで無い。まさに、恵みの雨だ。


その昔パリにいた頃、時々汽車で足を延ばした。近くではベルサイユに、また私だけでシャルトルへ(あの時は夫婦で詰まらないことに意地を張ってしまった。結局、私のわがままにしか過ぎなかったのだが。同じ日にノッコとチャオはエッフェル塔に登ってパリを一望したらしい)、その後3人でシャパーニュ地方のランスへも行った。(下の写真は歴代王の戴冠式がおこなわれたランスの大聖堂)



遠い夏に想いを-ランス  八月にはイギリスへ船で渡るためにカレーまで列車で行った。あの夏の車窓からの景色は今日のとはまるで違っていた。深い緑の森を抜け、緑の絨毯を敷き詰めたような草原を走り、満々と水をたたえて流れる川を越え、点在する朱い瓦屋根の農家が目の前を過ぎ去って行った。あの風景はどこへ行ってしまたのだろう。今日はせめて、久し振りの恵の雨を神に感謝して喜ぶことにしよう。


 ほどなく列車はレンヌに到着した。新幹線で東京から名古屋までが2時間だが、結構長く感じる。しかし、このTGVの2時間は短かった。ホームは屋根の覆いもなく、わりと殺風景な駅だ。改札を通って駅の待合室に入った。人口20万以上のブルターニュの県都の駅舎としては、いかにも粗末過ぎる。、

ただ、駅の改修工事が始まったばかりだ。どんな駅舎になるのか、この時は分からなかった。


 駅前は広場で車の駐車場になっている。雨あがりのせいもあって、何となく沈んだ感じだが、まあ悪くない町だ。周囲を見渡しても、誰かが迎えに来ている様子も気配もない。