大学まわりの癖 - 027 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

遠い夏に想いを-ソルボンヌ01  建物の重たいドアを押して中へ入った。教授風の老人は廊下の奥へ立ち去っていった。奥の部屋に入ろうとしていた太った女性に慌てて声をかけた。ノッコが後ろについてきていた。後はノッコにお任せだ。


 パリ人としては、まあまあ親切な女性だった。彼女によると、多分、ジュシューの第7校ではないかと言う。しかし、昔そのような夏期講座があったか、また、今やっているか分らないと言う。この通りをもう少し下りると、大学の事務局があるから、そこで聞いてみなさいと言う。


 再び外へ出てクーザン・ソルボンヌ通りを更に下だる。路上駐車は多いが、車は殆ど通らず静まり返っている。40メートルほど進むと、大きな門があり、中は大きな広場になっている。内庭に入ると右手に17世紀前半にリシュリュー枢機卿によって建立されたソルボンヌ教会の豪華なドームが聳えている。ここには彼の墓も安置されている。内庭の左手に事務局と教室への入口がある。中へ入り通路を行く。しかし、夏休みの真最中であり、昼休みなので事務員も姿を見せない。


 どうゆう訳か外国にいると殆ど無意識に私達は大学を回る癖がある。イギリスでもケンブリッジを訪れた。大英博物館へ行ったので、夏目嗽石とゆかりのあるロンドン大学へも足を延ばしたかった。しかし、ロンドンでは時間が許さなかった。この次はオックスフォードへも行きたい(数年後の旅で実際に行ってきた)。


遠い夏に想いを-ソルボンヌ02
 パリ大学は1253年に僧侶のロベール・ド・ソルボンが聖ルイ王の援助のもとに神学生のための学寮をここに建てたのが始まりであった。だからソルボンヌ(本校)には文学部・人文科学部が置かれている。


 ここでは『・・・学部』又は『・・・校』と表記しているが、フランス語でも日本語でも全て『・・・大学』と呼んでいる。Universiteとは本来総合大学を意味する言葉だが、アメリカ的に言えばCollegeに相当する。日本ではCollegeのことは単科大学などと呼ばれている。フランスでコレージュは中学を意味する言葉になってしまう。