とにかく、今日一日はチャールズに任せることにした。途中までの道程は残念ながら一昨日と同じで、ケンブリッジの近くまではM11を走る予定だ。同じ道なので余り興味が湧かないと思う。しかし、チャールズは途中の小さな村や町に車を回して、イギリスの田舎を見せてあげると言う。今日は目的地が一か所だから慌てる旅でもないし、そうやって、楽しむしか方法がない。
チャールズのワーゲンは一昨日と同じく、クイーンズ・ロードを上り広いエッピング・ニュー・ロードへ出た。エッピングの森が左右に広がり、沿道の木々のこずえからこぼれ落ちる陽射しがチラチラと光る。木々の間から見える
広い芝生の上では大人達がクリケットを楽しんでいる。イギリスは湿度が以外に高く、緑の多いイメージがあり、森や自然の豊かな国に思えるが、意外なことに、森林の面積はヨーロッパでも最低の部類に入る。また、有名なナショナル・トラストの歴史的建造物とか自然保護の運動にも見られるように、彼等の活動も一部はこの危機感から始まったのではないだろうか。
ある統計によると、例えば、森林面積と国土面積の比率で、イギリスの森林面積比率は11.8%しかない。アイルランドも9.7%と低い。湿地と運河のイメージが強いオランダでさえ11%だから、とても考えられない。70%以上の森林面積を誇るフィンランド、スエーデン等の北欧諸国は例外としても、赤土がむきだしのイメージが強いギリシャやイタリアでさえ30%前後はある。30%近くの森林面積を有するドイツやフランスに比べても余りにも少ない。
日頃抱いている「我が谷は緑なりき」のイギリス(あれはアイルランドだったかな)のイメージとは余りにもかけ離れている。バーミンガムのジェーンによると、ウエールズのスノードニア国立公園は素晴らしい渓谷の景色なのだが、殆ど木の生えない荒涼とした風景だという。イギリスの状況は想像を絶する。(左はジェーンが送ってくれたスノードニア国立公園でのハリーの写真)
CO2の吸収量とかその他の要素を考えて、森林が多い方がいいのか、少ない方がいいのかは私には分らない。南米などで、熱帯樹林の伐採が問題となっているのだから、単純に森林が多い方がいいのだと思うのだが。また、イギリスは平地が多いが、フランスより食料自給率が低いとなれば、これまた解らなくなる。
ミネソタの遠い日々
1970年の夫婦子供連れでのミネソタ大学、留学記録にもどうぞ