おお、寒い! - 051 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

 さて、例によって今朝も早起きだ。陽が昇ったらロンドンの早朝散歩に出かようと話が決まった。朝の6時にホテルからオックスフォード通りへ出た。朝日が昇ったばかりで、気温はかなり低く、セーターを着込まないと寒くて歩いていられない。通りには車の姿も人影も殆どなく、昼間の賑わいに比べて異様な光景である。オックスフォード・サーカスの駅に向かって歩いた。通りの反対側、ソーホー側の歩道には浮浪者風の男達が数人たむろして、大声でわめきあっている。早朝にこの手合いにからまれたら、夜中より始末が悪い。まわりに人がいないだけでなく、商店が一軒も開いていないからだ。


 トップマンの角で駅に入ろうと思ったら、地下鉄の入口は閉まっていた。
「あれ、駅が閉まって入れないぞ」
一瞬わけが分らなかった。
「今日は日曜日なんじゃない。曜日が分らなくなってきたみたい」
多分、日曜日と平日のダイヤが違うためであろうし、曜日によって入口の開門時間が異なっているに違いない。地下鉄でセント・ジェームズ・パークへ行ってみる積りだった。
「セント・ジェームズ・パークが駄目でなら、ハノーバー・スクエアーへ行ってみようか。ここから歩いて行けるところだし」

遠い夏に想いを-逆光の街 そう言ったものの、どうも機先を制された感じだ。
「でも、ちっと寒すぎるんじゃない」
寒さに震えながらそのままホテルへ戻った。この寒さはミネソタや札幌の非じゃない。やがて、昼間になれば気温が急激に上昇し、雨が降らないから、暑くてたまらなくなる。通りの奥のビルの谷間から太陽が昇ってきた。逆光に路面が黒い影となり、光がキラキラと反射して眩しい。


 オックスフォード通りはロンドンの中心部を東西に抜ける街道で、その名の通り、ロンドンからオックスフォードへの出発点であった。昔からこの通りはロンドンで一番のショッピング・ストリートといわれている。特に皮製品を扱う商店が多いらしいが、オックスフォード・サーカスからトテナム・コート・ロードまではこれといった高級店も気の利いた店もないように思えた。

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