英国は家庭料理が美味しい? - 046 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

 ブティックを出たら、街には夕闇が迫っていた。殆ど足を引き摺りながら、ホテルに辿りついた。奥様は疲れてはいるが、そんなにひどくはないとおっしゃる。ロンドンにきてから随分と元気がいい。
 夕食をどこでとるか。ロンドンで一番美味しかったのは、昔、チャールズのお父さんが作ってくれたローストビーフだった。お父さんはもういないのだから、せめて思い出に、ローストビーフで有名なシンプソンで食事遠い夏に想いを-simpson
をして、どちらが美味しいか比べてみようなどと考えていたが、これからレストランに予約を入れて、再びストランドまで出かける気力は残っていない。それより、一休みして、ホテルのレストランに行くことにし、電話で8時に予約を入れた。
 1階のレストランはブラウンの木目を基調にした内装で、クリーム色の柔らかい照明が落着いた雰囲気をかもしだしている。天井は高く、装飾はシックで、空虚さのかけらもない。いたってイギリス的でよろしい。
 しかし、レストランとは難しいところだ。店のつくり、雰囲気、ウエイターやウエイトレスの質、客筋、それに当然、料理の善し悪しの4拍子が揃はないと、いいレストランとはいえない。ここのレストランは、ホテルが三ッ星の上クラスだから、余り上客は望めない。おまけに夏の観光シーズンまっただなかで、ネクタイ・ジャッケット着用の客は殆どいない。ウエイターやウエイトレスの懸命さは察せられるが、彼らの質にバラツキが有り過ぎる。
 私達に付いたウエイトレスは東アジア系の年配の女性だった。東アジア系は言葉にハンデがあるのを別にしても、どうもサービス業には向かないようで、このウエイトレスもニコリともせず、全て事務的・機械的で余りにもつっけんどんであった。

 ミネソタの遠い日々
1970年の夫婦子供連れでのミネソタ大学留学記へもどうぞ