夕食をどこでとるか。ロンドンで一番美味しかったのは、昔、チャールズのお父さんが作ってくれたローストビーフだった。お父さんはもういないのだから、せめて思い出に、ローストビーフで有名なシンプソンで食事

をして、どちらが美味しいか比べてみようなどと考えていたが、これからレストランに予約を入れて、再びストランドまで出かける気力は残っていない。それより、一休みして、ホテルのレストランに行くことにし、電話で8時に予約を入れた。
1階のレストランはブラウンの木目を基調にした内装で、クリーム色の柔らかい照明が落着いた雰囲気をかもしだしている。天井は高く、装飾はシックで、空虚さのかけらもない。いたってイギリス的でよろしい。
しかし、レストランとは難しいところだ。店のつくり、雰囲気、ウエイターやウエイトレスの質、客筋、それに当然、料理の善し悪しの4拍子が揃はないと、いいレストランとはいえない。ここのレストランは、ホテルが三ッ星の上クラスだから、余り上客は望めない。おまけに夏の観光シーズンまっただなかで、ネクタイ・ジャッケット着用の客は殆どいない。ウエイターやウエイトレスの懸命さは察せられるが、彼らの質にバラツキが有り過ぎる。
私達に付いたウエイトレスは東アジア系の年配の女性だった。東アジア系は言葉にハンデがあるのを別にしても、どうもサービス業には向かないようで、このウエイトレスもニコリともせず、全て事務的・機械的で余りにもつっけんどんであった。
ミネソタの遠い日々
1970年の夫婦子供連れでのミネソタ大学留学記へもどうぞ