セント・マーチン - 044 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

 正面の一段高いところに純白のナショナル・ギャラリーがあり、その姿は何とも華麗で美しい。コリント様式の列柱にドーム。教会のドームと違って低いが優雅でいい。やはり、あの時もナショナル・ギャラリーには入らなかった(実際には95年に入った)。あの頃は遂に美術館・博物館に足を入れずじまいだった。ギャラリー正面前からの眺めがまたいい。正面のホワイトホール通りの奥にビッグ・ベンが夕靄の中に黒い影となって浮び上っている。
 時間が無いのでリージェント通りへ抜け、オックスフォード・サーカスを経て、ホテルまで歩いて帰ろうと思ったのだが、何を考えたのか、セント・マーチン・イン・ザ・フィールズ教会の前を北へ上がって地下鉄のレスター駅の前に出てしまった。これでは大変な遠回りである。遠い夏に想いを-st.martin
 セント・マーチン・イン・ザ・フィールズ教会。この長ったらしい名前の教会は、すんなりと空に伸びる白い塔の姿が清楚で美しい。1726年の完成なので、このあたりでは一番古い建物である。このイギリス・ルネッサンス様式の教会は塔の姿・形がどこかでよく見かけた記憶があった。アメリカのニユー・イングランドあたりにはデザインを更にシンプルにした同じイメージの教会が沢山ある。
 また、この教会はもともと音楽には理解があって、アカデミー・オブ・セント・マーチン・イン・ザ・フィールズ・オーケストラ(なんと、長ったらしい名前なのだ!)結成に当たっては大きな役割を果たした。私はネヴィル・マリナーが率いるこのオーケストラが大好きである。モーツアルトを演奏させたら天下一品である。彼は映画『アマディウス』で音楽を担当したことで一躍名を馳せた。ネヴィル・マリナーはどうゆう縁か知らないが、つい最近までミネソタ・オーケストラの総監督('79~'84)をしていたこともあり、何か別な意味で身近で親しみを覚える人だ。とは言え、ミネソタの音楽界では、彼の評判ははなはだよろしくなかった。

 ミネソタの遠い日々
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