蒸気で動くの? - 041 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

 ホワイト・タワーの東側の坂道にベンチが並んでいる。このあたりにはローマ時代に城壁があったところ遠い夏に想いを-ロンドン塔のベンチ で、ロンドンの長い歴史を物語っている。2人で腰を下ろした。このベンチには当時チャールズのお母さんが疲れて険しい顔で座っていた記憶がある。チャオだけが元気だった。子供には興味のないところに、よく文句も言わずついて来たものだ。パリで言葉が通じなかったので、英語の通じろ英国がよっぽど楽しかったのだろう。今ここに座っている人達も座り込んだまま動こうとしない。いましがた見た歴史の暗さに気が滅入っているようだ。いつまでも座っていても眺めがいい訳でないから、元気をだして立上がった。
 帰りがけに一応はホワイト・タワーに入ることにした。ここは甲冑や刀剣に興味のない人には1度見たら2度目は何の興奮も与えない。結局は72年の時と変わっていないことを確認するだけとなってしまった。北側の入口を通って城外へ出た。
 テムズ川畔をタワー・ブリッジへ向かって進む。テムズ川にかかる橋の中ではロンドン橋やウェストミスター橋よりも、タワー・ブリッジの人気が高い。今やビッグ・ベンとともにロンドン観光の象徴的存在となってしまった。1886年から1894年にかけて総工費150万ポンド、橋だけで80万ポンドをかけて建てられたという。当時は1,000トンもある開閉部分を蒸気ポンプで90秒かけて引上げていたという。1975年に電動式になったというから、1972年にはまだ蒸気で動いていたことになる。当時、この橋を歩いて渡らなかったが、いくら古い物を大切にするイギリスでも、まさか蒸気で動かしている橋とは当時想像もしなかった。
 橋の下を抜け、北側のタワーの入口まで上がって行った。ここからの眺めはいい。心地よい川風が橋を通り抜けて行く。西に傾きかけた太陽の光がゆるやかに流れる川面に映えて美しい。橋の右手にはロンドン塔の全容が見渡せる。上流にはロンドン・ブリッジも望める。

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