ロンドンの色? - 033 | 遠い夏に想いを

遠い夏に想いを

アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

 コプティック通りの角にあるピッツァの専門店『ピッツァ・エクスプレス』の前で足を止めた。赤と緑で色鮮やかに塗られた店の入口は通りの角にあった。店内は天井が高く意外と広い。真赤なテーブルと椅子が整然と配置されている。赤と緑と白はイタリアの三色旗の色だが、ロンドンは赤が奇妙に似合う。ロンドンを代表する色は赤と勝手に決めている。

遠い夏に想いを-ロンドンの色  それでは、東京の色は何か。知人、友人の外国人達は一様に赤色だと言う。理由は簡単で、看板にあった。日本はネオン・サインを含めて看板が異常に多く、その上、形にも色にも場所にも秩序がない(香港ほどではないが)。使われている色は圧倒的に赤が目立つ。外国人が第一印象で『赤』と答えるわけが理解できる。逆に、「何故こんなに赤が多いのか?」と聞かれても、私には答えられない。日本の旗が日の丸だかからとか、神社・仏閣が朱色に塗られているからとか、それでは理由にならないだろう。本当かどうか判らないが、飲食店の看板が食欲をそそるために赤色が使われているのだという説がある。
 ちなみに日本の都市の美観を損ねている最大の悪玉は電柱と電線だ。これには日本人全員が賛成するし、外国人も驚く。電柱と電線は全く言語道断である。全員が反対でも、電柱も電線も看板もなくならない。ヨーロッパの都市のように文字のサイズや色までは無理かも知れないが、看板の大きさや看板の色の規制などは絶対に必要である。プレミス(路上)看板などには規制があるが、道路交通法の問題だからどうにもならない。
 建物も汚い。日本ではどういう訳か古いものは古いままでの考えが横行している。歴史的価値のある建造物ならいざ知らず、一般の住宅や店舗にまでとなると救い難い。大学に入ったら勉強しないのと根は同じだ。家を建てたら手入れをしない。どうせ30年も経てば値打ちがなくなるんだからと。町を作っても美しく住み易くする努力をしない。日本人は近世になって文化的に『断絶』の世代交替を繰返して来たため、建築にも伝統と様式を見失い、迷子の状態に陥ってしまった。

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